「育ちすぎる巨大な手」を持つ8歳の少年 ― 膨張が止まらぬ謎の症状に医師も困惑=インド

■経済的困窮のために治療できない!

 母親のハリーマさん(27)は、カリームくんの手に異常があることは出産後すぐに気付きながら、経済的な理由からどうしてあげることもできず、「無力感でいっぱいです」と語る。一家の収入は月に2,500円ほどで、カリームくんに治療を受けさせる余裕がないのだ。

「彼を大きな病院に連れて行きたいのです。しかし収入は増えず、妻に物乞いしてもらわなければならないほどです」
「私たちの経済状況では、カリームに治療を受けさせることは困難でした」

 このように苦しい胸の内を吐露する父親のシャミムさんは、なんとか息子の将来を明るいものにしたいと今まで必至で働き、助けも求めてきたが、事はなかなかうまく運ばなかったようだ。

 進行し続けるカリームくんの症状は、地元の医師に診てもらうことしかできなかったが、

「私の知る限り、これは極めて珍しい症状です。医学書やネットを見ても、このように手だけが巨大化するケースは報告されていません。遺伝子検査をしなければ、彼の身体で何が起こっているのか、確かなことは言えないでしょう」

と、原因を特定できず困惑するばかりだったという。しかし手の異変以外、カリームくんの身体には何の問題もなく、至って健康であると医師は語っている。


■「リンパ管腫」か「過誤腫」か?

 さて、デリー近郊グルガオンで最先端医療を提供する、フォルティス記念研究所の小児科医長クリシャン・チュー医師が、カリームくんの話を聞きつけ、謎の症状に対して分析を行っている。

 チュー医師は、検査をせずに確かなことは言えないとしながらも、カリームくんの兄弟に同様の症状が見られないことや、過去の症例などに基づき、これは「リンパ管腫」(リンパ系が急激な炎症をおこし、体の一部に大きな腫瘍を生じさせる)もしくは「過誤腫」(過剰に発育した組織が腫瘍化したもの)ではないかと指摘。その上で、どちらも治療可能な症状であるとして、早期の来院を呼びかけた。このまま手を放置し、巨大化が続くと、血液循環系に異常を来し、カリームくんの寿命を縮めかねないというのだ。

「手術をしたいかは……よく分かんない。だってお医者さんは僕を寝かせて、体を切るんだよ。小さな手術なら大丈夫だと思うけど……注射がなければいいなぁ」

と、8歳児らしい素直な意見のカリームくんだが、チュー医師の分析に希望を見出した両親は、以前にも増して必至に働いているという。今後、カリームくんが治療を受けられるようになることを祈りたい。

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文=モンペ・アザブジュバーン

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