軍艦任務から日本軍捕虜キャンプを生き延びた軍用犬“ジュディ”の感動ストーリー
これまでの戦争において、馬や犬などの動物たちも容赦なく戦場へと駆り出されてきた。中でも訓練された忠実な軍用犬は、貴重な戦力として多くの戦場で兵士たちと共に闘い、時には周囲の気分を和らげるマスコットとしても重宝されていた。そんな軍用犬についてのエピソードが昨今、日本をはじめ各国で次々と発表されて注目を集めているが、「Daily Mail」では第二次世界大戦中にイギリス軍に参加し、日本軍の捕虜キャンプでも多くの兵士の危機を救い、心の支えになった軍用犬“ジュディ”についての感動の戦争秘話を紹介している。
■日本軍機の接近を吠えて知らせる
1936年某日、中国・揚子江に浮かぶ軍艦の甲板には、空に向かって大きく吠える犬がいた。メスのイングリッシュ・ポインターである。この犬こそが軍用犬のジュディだ。
急に吠え出した犬に驚いた艦長が自制心を無くし、ジュディを怒鳴りつけようとした時、突然、1機の軍用機が轟音を立てて近づいてきた。そしてマストの高さまで急降下し、驚く水兵たちの上をかすめて再び急上昇して去っていった。これは当時、軍備を増強させつつあった日本軍の示威活動であった。イギリスの軍艦など跡形もなく消す事が出来る、というメッセージなのだ。
ジュディは、飛行機が地平線の果てに消えると吠えるのを止めた。この日を境に、ジュディの警告は二度と無視することができないと艦上の誰もが感じたという。
画像は「Daily Mail」より
■大艦隊の接近にもいち早く気付く
1941年終わりから始まった日本軍の本格的なシンガポール攻略に直面したイギリスは、1942年の春に大規模な撤退作戦を開始した。
シンガポールからの引揚者を乗せて航行中だった軍艦で、ある日、ジュディが艦長のジャック・ホフマンのもとへ狂ったように駆けつけ、長く吠えて急を知らせた。艦長はジュディの聡明さを心得ていたので、疑うことなくすぐさま水兵に戦闘配置につくよう命令した。そして案の定、水平線に微かに敵影が見えはじめた。
しかし今度は偵察機1機だけでなかった。大規模な艦隊と共に、100機以上の爆撃機が見えたのだ。艦内では敏速に戦闘体勢が整えられたものの、残念ながら攻撃を逃れることはできなかった。瞬く間に近づいてきた1機の爆撃機が甲板めがけて爆弾を投下し、後部デッキに落ちて艦の内部で爆発したのだ。
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