【日本怪事件】怨恨? 愉快犯? 女子高生ら3人が銃殺された未解決事件「ナンペイ」
【今回の事件 八王子市スーパー「ナンペイ」バイト殺人事件】
銃声は、賑わう盆踊りの会場でも聞こえた。音は2分30秒ほどの間に4、5回。それだけの時間で、3名の命が奪われた。
平成7年7月30日午後9時過ぎ、JR八王子駅から2キロほど、八王子大和田町にあった、スーパー「ナンペイ」の2階事務所で事件は起きた。盆踊り大会が開かれていたのは、現場から目と鼻の先にある公園である。
犠牲となったのは、同店のパート従業員、稲垣則子さん(47歳)とアルバイトをしていた私立桜美林高校2年の矢吹恵さん(17歳)、そして都立館高校2年の前田寛美さん(16歳)だった。
■血の海が広がる悲惨な事件現場
事件現場は、凄惨を極めた。稲垣さんは、両脚を投げ出して壁にもたれ、目をカッと見開いていた。額にあいた2つの穴から、血が流れている。2人の女子高生は粘着テープで口を塞がれ、互いの右手と左手の手首を繋がれて、見つめ合うような形で血溜まりに横たわっていた。
弾丸から、犯行に使用されたのはフィリピン製の38口径回転式拳銃「スカイヤーズ・ビンガム」であることがわかった。銃声が聞こえたのが、午後9時17分から19分の間。またその2分前の9時15分には、稲垣さんは知人に迎えを頼む電話をしている。その知人が同店に着いたのが、9時20分過ぎ。つまり、最大でも5分の間に、殺戮が行われたことになる。
まったく躊躇のない大胆な犯行に、銃に慣れた外国人によるゲーム感覚の殺人なのではないか、という憶測も流れた。
それというのも、動機が特定しづらかったためだ。売上金526万円が入った金庫にも、銃弾は撃ち込まれていたが、解錠はされず中身も手つかず。また、高級腕時計や貴金属類が入った店長の机の引き出しも物色されていない。そこには金庫の鍵と、ダイヤルの暗証番号を記したメモもあったにもかかわらず、だ。
■容疑者はおれども、難航を極める事件捜査
捜査当局は、強盗を装った怨恨殺人の線に絞って、捜査を進めた。
被害者の稲垣さんは、中学卒業で福島から上京して、集団就職。会社勤めを続けていたが、30歳で八王子市内の高級クラブに入ると、たちまちナンバー2にのし上がった。その後、彼女は3年で独立し、同市内にスナックを開業。なまりが残る彼女の喋りに純朴さを感じ、のめり込む男性が多かった。彼女の気を惹こうと、退職金や田畑を手放して貢ぐ者も少なくなかったという。
最初に疑われたのは、稲垣さんからの電話を受け、迎えに行った男性だ。クラブホステスの頃からの常連で、彼女に金品を貢いでトラブルに発展したこともあったが、当時は飲み仲間となっていた。店に着いたにもかかわらず、彼女が出てこなかったため、一緒に行く予定の飲食店へ向かった。
だが、そこにも彼女の姿がなかったため、スーパーに戻り遺体を発見。この時間が、午後10時過ぎだ。110番通報せずに、わざわざ交番まで出向いていることなどが、不審に思われた。捜査当局は彼を事情聴取したが、拳銃に繋がる線が出なかった。
他にスーパーの店長、スナックの開業資金を出した土建・不動産業社長などが疑われたが、結局はシロとの判断に至った。
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