騒音が人を狂わせる ― 保育園は迷惑施設か?

騒音が人を狂わせる ― 保育園は迷惑施設か?の画像1画像はFlickrより。Crying Yuri/Emran Kassim

■「子どもの声がうるさい」と斧を振り下ろす!

 2014年9月の末、東京都国分寺市の保育園前で、子どもを遊ばせていた父親に対して、近所に住んでいた無職の男が、無言で持っていた斧を振り下ろした。斧は地面にあたり、父親に怪我はなかったが、男は子どもの父親を脅した「暴力行為等処罰法違反」の容疑で逮捕された。

 男は5年も前から、市役所に電話をかけ、「園児のマナーが悪い」などと苦情を訴え、事件前日には対応しないのであれば、園児に危害を加えることを示唆していたという。

 市役所の方でも、保護者に対して「近所から苦情があったので、帰り道などでは子どもをうるさくさせないようしてほしい」という文書を配布したばかりだった。死傷者が出なかったことは不幸中の幸いだが、結局トラブルは発生してしまった。


■全国に広がる保育園の騒音問題 子どもの声は「騒音」か?

 この事件を起こした保育園の騒音が、特別ひどかったのかといえば、そうでもない。近年、保育園に限らず、学校や公園で遊ぶ子どもの声が日本全国で問題になっている。

 兵庫県では神戸市東灘区の認可保育所が、子どもの声がうるさいという理由で、防音設備の設置や慰謝料の支払いを求めて裁判へ発展している。

 また、待機児童対策で作られる、新しい保育園の建設予定地では地元住民の反対運動が起きてしまい、建設計画が進まない地域も珍しくはない。保育園や公園、あるいは学校などで響きわたる子どもの声は、もはや「騒音」として認識されているのである。

■人はなぜその音を「騒音」と感じるのか?

 保育園や公園、そして学校が住宅街のそばに作られるのは、最近になってからの話ではなく、むしろ昔から人が子どもを生み育てる住宅街にこそ作られてきた。では、なぜ子どもの声が騒音問題になっているのかといえば、それは子どもの声を騒音として感じる人の問題だとも言えるだろう。

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