美しき“海のカナリア”! シロイルカの新たな命が生まれる瞬間!

 ひとつの生命がこの世に生まれる瞬間――連綿と子孫を繋く生き物たちの生命力が最も発揮される瞬間は、見る者に感動を禁じ得ない。多くの観衆が見守る中、ひとつの生命をこの世に産み落としたシロイルカの見事な出産の光景を収めた動画に注目が集まっている。


■シロイルカ出産の瞬間

 10月28日、中国・湖南省の水族館「長沙アンダーウォーターワールド」で来場客たちの歓声が沸き起った。多くの観衆が見守る水槽の中で新たな生命が誕生したのだ。

 人々に感動を与え、無事に出産を終えたこの8歳のシロイルカは、15ヵ月にわたって妊娠していたという。人間よりも長い妊娠期間だが、それもその筈、5時間続いたという“お産”の末にようやく母親の胎内から完全に姿を現した赤ちゃんイルカは、すぐさま器用な泳ぎを見せるのだ。そして水面に上がってくると、鼻先を突き出しこの世に生まれて最初の呼吸を行なった。暫くの間は母親の授乳が必要ではあるものの、身体的にはかなり成長した状態で生まれるために妊娠期間が長いといわれている。

 このシロイルカは2010年にロシアからこの中国の水族館「長沙アンダーウォーターワールド(Changsha Underwater World)」にやってきたということだ。「シロイルカの出産は中国で初めてのことです」と同館スタッフは語っている。

 母イルカにはこの後この後、2年間の“育児休暇”が与えられるという。スタッフが次に注目しているのは、赤ちゃんが母親のお乳を飲みはじめる時期とのことで、引き続きこの母子に対するケアに余念がない。

■愛らしくよく鳴く“海のカナリア”

 シロイルカ(White whale)は北極海、ベーリング海北部、オホーツク海、クック湾、セントローレンス湾などの北極圏の海域に広く分布している。オスは体長5.5m、メスで4mほどにもなり、その名の通りに真っ白い体色が特徴だ。また、キーキーと弦楽器音のような声でよく鳴くことから“海のカナリア”という愛称がつけられている。

 クジラ・イルカ類で初めて水族館(1861年、米バーナム博物館)で飼育、展示されたのがこのシロクジラということで、日本でも1976年9月に千葉県・鴨川シーワールドで一般公開されたということだ。現在、この鴨川シーワールドでは、定期的に「ベルーガパフォーマンス」が行なわれていて、シロイルカが数々の特技を披瀝して来場客を魅了している。ちなみに「ベルーガ」とはシロイルカの別称だ。

 イルカの出産の瞬間に立ち会えるのは天文学的な確率と言わざるを得ないと思うが、たまには水族館に足を伸ばして様々な生き物の姿を肉眼で観賞し、目の保養と精神のリフレッシュを図ってみるのもいいかもしれない。
(文=仲田しんじ)

参考:「Daily Mail」、「鴨川シーワールド」ほか

場末の酒場の片隅を好む都会の孤独な思索者でフリーライター。
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