幽霊の正体が明らかに? 科学実験で「得体の知れない存在」の誘発に成功
■どのようなプロセスがそう思わせるのか?『存在の感情』の原理
では、その原理である『Feelings Of Presence(=存在の感情)』について触れてみよう。この感覚は、文字通り「存在を感じる感覚/感情」である。どういうことかというと、まず被験者は目隠しをされ、人差し指を前方の機械式アームロボットに繋がれている。この機械式アームは、その動きをプログラムによって制御できるようになっている。一方、被験者の背後には、別のロボットアームがあり、実はこの背後のロボットアームが被験者らの背中を実際に触っているのだ。これだけなら、少し気味が悪いというだけで何ら幽霊の気配などするはずはないが、これら2つのロボットを同時に駆使した時、それは起こった。
前方で人差し指をつないでいたロボットが指を押し、それと同時に背後のロボットが背中に触れる。すると被験者らは、あたかも自分自身が指で背中に触れたように錯覚するのだという。
さらに、背中に触れるタイミングが指を押す動作から0.5秒遅れただけで、なんと見ず知らずの何か、あるいは誰かに見られている、触れられていると感じたのだそうだ。被験者のうち3人に1人は気味の悪い幽霊によるものだと感じ、同時に背後に漂う不気味な気配に混乱したのだそう。この際彼らが感じた「気配」は前述した「4人」が最高数だったが、全員を平均しても2人の(幽霊の)存在を感じていた。
■研究者らの見解――『実験では初となる「存在」の誘発に成功した』
この実験を執り行ったチームの責任者である、スイス連邦工科大学ローザンヌ校の教授、オラフ・ブランケ氏は、この実験を通じ、「幽霊の存在を諦めた」という。彼はプレゼンテーションのなかで、「私たちの実験は、『得体のしれない何か』の存在感を誘発することに成功した。それは単に、矛盾する感覚と運動信号を通して、通常起こり得ることである」と話している。また「ロボット・システムは、一部の精神障害患者の感覚に近い現象が健康な人物の脳内に模倣させることができた」「それが脳で彼ら自身の体の認識に影響したことを意味する」とも語っている。
また同大学の教授で報告の共著者であるジュリオ・ログニーニ博士も「我々の脳は、空間のなかでの自身の体の表現をいくつか持っている。通常の条件下ではこれらの表現により、自己の統一された認識を組み立てることが可能である。しかし時に、システムの誤作動(この場合にはロボットによるものだが)自分自身で知覚しない第二の体による表現、すなわち自分によるものだと認識できない行動を表現することがある」と語っている。
実験を行う前、研究者らは過去に「存在の感覚」に遭遇したことがある精神疾患患者12名の脳スキャンを行っている。その際彼らは、患者らの3つの特定の脳領域(島皮質・頭頂前頭皮質・側頭頭頂)において皮質障害を確認していた。これらの領域は自己認識・運動・空間内の位置感覚に関与している部分である。
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2024.10.02 20:00心霊幽霊の正体が明らかに? 科学実験で「得体の知れない存在」の誘発に成功のページです。幽霊、科学、ODACHINなどの最新ニュースは好奇心を刺激するオカルトニュースメディア、TOCANAで