チンギス・ハン直系の子孫が世界に1,600万人?史上最強のビッグダディ伝説

■残る8人の“父”は誰なのか?

 チンギス・ハンに続いて名前が挙がっている歴史上の人物は中国明朝後期の女真族の一派、建州女直の部族長といわれているギオチャンガだ。ちなみにギオチャンガの孫は後金の創始者で清朝初代皇帝のヌルハチである。ギオチャンガもまた多くの妻と子供を持ち、現在の男系の子孫は150万人以上と計算されている。

 11人の中からさらにもう1人、耶律阿保機(やりつ あぼき、872年-926年)の名前も挙がっている。耶律阿保機は契丹(きたい)帝国の建国者で、かつて契丹帝国だった現在の中国北部には今も多くの子孫が暮らしているといわれている。

 この11人の“偉大な父”のうち、歴史上の人物として特定できるのは残念ながら今のところこの3人だけのようである。残る8人がいったい誰なのか様々な想像が膨らむところではあるが、場所と年代がある程度把握できている血脈もいくつかあり、例えば紀元前700年頃のトルコ北部や、西暦1100年前後のイランにも“偉大な父”がいたということだ。ということは“偉大な父”の中にイスラム系の人物がいる可能性は高そうだ。

 このトピックを最初に目にした時、ややオタクな話ではあるが筆者は思わずかつての歴史シミュレーションゲーム『蒼き狼と白き牝鹿・ジンギスカン』(コーエー)を思い出してしまった。ちなみにゲームでは12世紀頃に現在のイランにあった「アッバース朝」があり、国王のムスタンスィル(1192年-1242年)もキャラクターとして登場している。イスラム世界に注目が集まっている中、今このゲームをプレイしてみるのもいろんな意味で興味深いかもしれない。

 今回の研究は基本的に大陸を舞台にしており、おそらく日本には直接関係していないと思われるが、当然ながら東アジアの島国・日本にもこの11人の“偉大な父”の血脈は受け継がれているだろう。しかし大陸と比べればまた少し違った島国ならではの特色が現れてくるのかもしれない。あの「失われた十支族」のこともあることだし、今後は日本人男性のY染色体の傾向も何らかの機会にどこかでぜひ調査して欲しいところだ。

参考:「Daily Mail」ほか

文=仲田しんじ

場末の酒場の片隅を好む都会の孤独な思索者でフリーライター。
興味本位で考察と執筆の範囲を拡大中。
ツイッター @nakata66shinji

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