CIAが気象を人工的にコントロールする“気象兵器”研究に意欲か?
■天気の変化=原因と犯人を不明にできる――気象兵器研究と実用例
大国アメリカがそんな野望を抱いているかもしれないという可能性に驚く人も多いことだろうが、この気象兵器というもの自体は、実は過去に実践的に使用されたことも含め、はるか昔から研究自体は進んでいた。
例えばベトナム戦争中にアメリカ軍が極秘に進めていた気象操作計画「ポパイ作戦」があるが、これは合衆国政府軍の戦況を有利に進めるために敵対する国と地域の雨季を長引かせる目的で特殊な技術を用いて雲を発生させ、実際にタイ、カンボジア、ラオスなどの対象地域においておよそ30日間から45日間雨季を長引かせている。
しかしながら、のち1975年のジュネーブ軍縮会議、および1976年12月に採択され1978年10月に発効された通称「環境改変兵器禁止条約」において、地震や津波を人工的に起こしたり台風やハリケーンの進行方向を変えるなどの技術を開発したとしても、軍事的な目的での使用を禁止している。
とはいえこの条約には罰則はなく、しかもこの「環境改変」は誰がやったか判り難く、いわばサイバー攻撃のように犯人の特定が難しい技術である。もし、仮にアメリカが何らかの方法を試したとしても出所を不明にできるというメリットがあるというわけだ。そしてそれこそが、この研究開発、さらには技術の獲得を科学者らが恐れる理由でもある。
今回CIAからの質問に対応したロボック教授も「気象を変化させる研究は、オープンになるべきです。国際的にそうあるべきです。そうでなければこういった技術が軍事的な目的のために使われることになってしまう」と述べている。果たしてCIAの本当の思惑とは一体なんだったのか、また今後人工的な自然災害が起こることはあり得るのか……?
気候、天気というものは、きっとあなたを含めこれまで多くの人々がその決定権や発生のメカニズムを地球や太陽、宇宙の自然現象のみが握っていると考えてきたであろう。特に我々日本人にとっては、こと台風や津波が生活に大打撃を与えうることを身をもって体感している。その存在だけで恐怖を与えるには十分なものなのである。
いずれにしても、気象やそのコントロールについては今後も様々な研究が進められていくだろう。そのうちのいくつかだけでも平和利用される未来を願ってやまない。
(文=ODACHIN)
参考:「The Guardian」ほか
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