日常的にセックスしている高齢者は頭脳明晰? 58歳~98歳の男女約1,700人を調査=オランダ
高齢者と性――。好奇の視線から時折週刊誌などで特集を組まれたり、高齢者同士の痴話喧嘩がらみの事件は必要以上にニュースで騒がれる感も強い。触れることがタブー視される一方、セックスは高齢者にとっても重要な活動であり脳を若々しく保つ効果があるという研究が先頃発表され、高齢者のセックスに対する新しい視点が加えられようとしている。
■70歳代の男性半数と女性の3分1以上は“現役”
英「Daily Mail」の記事によれば、最近イギリスで行なわれた研究で、60代、70代で満足できる性生活を送る者は、頭脳明晰で記憶力にも優れているという結果が発表されたという。これによって、良いセックスは頭脳を若々しく保つ働きがある、という仮説が成立するかもしれないということだ。
英マンチェスター大学の研究によれば、70歳代の半数以上の男性と、3分1以上の女性がまだまだ性的に“現役”であり、そしてこれらの人々の3分の1は少なくとも月に2回はセックスしているという、なんとも頼もしい(!?)高齢者の性の実態が示された。
歳を取ることは決して活発な性生活を妨げるものではなく、それどころか満ち足りたセックスライフは気分を充足させ、知的能力の維持・向上にも繋がるというのだ。もはやこれからの時代、60、70で簡単に“引退”するのはもったいないということだろうか。特に今後もまだまだ高齢化が進む日本社会でも決して無視できないトピックであることは間違いないだろう。
■セックス“現役”高齢者は認知テストの成績が良い
高齢者の性と認知機能の関係性を探る研究は、数年前からオランダでも行なわれている。
オランダ・アムステルダム自由大学メディカルセンターの研究チームは、58歳~98歳のオランダの男女約1,700人に対して現在の性生活とセックスの必要性について聞き込み調査を行い、加えて記憶力から抽象思考能力まで全てを測定する一連の認知テストを行なった。
調査の回答によって、現在性的なパートナーを持つ男女の3分の2は今後の生活にもセックスが欠かせないと感じていることがわかり、高齢者の多くが日常的にセックスを行なっている実態が明らかになった。また、性生活に満足している者やセックスの重要性を自覚している者は、認知テストの成績が良いという傾向があることも判明したという。そしてこの傾向は男性よりも女性のほうが顕著であるということだ。
セックスの効能がにわかに注目されてくるのだが、オランダの精神医療施設(Altrecht mental health centre)の研究者は「性的に活発であることが脳の若さを保ち、逆に性的な関心の衰えが精神機能を低下させているという結論はまだ出せない」としている。しかしながら先頃マウスを使って行なわれた実験で、セックスは脳細胞の増加を伴うことが確認されているということだ。
オランダの研究者は、セックスは若者のものだけではないという認識が重要だと指摘し「これまでの社会通念に反し実際に多くの高齢者がセックスを重要な活動と考えており、齢を重ねても続けていきたいと望んでいます」と語る。
まさに“セックス礼賛”という感もある記事ではあるが、もちろん性行為だけでなく軽い運動や知力を使うゲームなども脳の若さを保つのに相応の効果があるということだ。特にクロスワードパズルは脳の全体をフルに使って問題に挑むためとても“脳に良い”ということである。ともあれ今後迎える“超”長寿社会において、これまでの高齢者のイメージは外見・内実ともに徐々に変化していくことは確かなのだろう。
(文=仲田しんじ)
参考:「Daily Mail」、「IFL Science」ほか
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