宇宙に直径18億光年の超巨大“空洞”があった!! 「コールドスポット」の謎がついに解明か?

 現在、学者たちの間で最も広く受け入れられている宇宙論は「ビッグバン理論」である。これは今から約138億年前、全ての物質とエネルギーが一カ所に集まった状態から、爆発的に膨張することで宇宙が始まったとする説だ。そして、現時点において「ビッグバン理論」を裏付ける最良の証拠と考えられているのが、「宇宙マイクロ波背景放射(Cosmic Microwave Background、CMB)」の存在である。あらゆる方向から一様に降り注ぐ、この電磁波の温度に“ゆらぎ”があることが観測され、宇宙に存在する物質の密度に濃淡があることや、宇宙が膨張したことが判明したのだ。

 そして2004年、NASAの天文衛星「WMAP」が観測したCMBの分布において、エリダヌス座付近に異常に温度の低いエリア(コールドスポット)があることが分かり、学者たちの間では正体について様々な議論が巻き起こっていた。しかし今回、ハワイ大学天文学研究所のIstván Szapudi博士らの研究チームが、学術誌「Monthly Notices of the Royal Astronomical Society(MNRAS)」上で、コールドスポットの正体について驚愕の研究結果を発表し、海外メディアを沸かせている。

宇宙に直径18億光年の超巨大空洞があった!! 「コールドスポット」の謎がついに解明か?の画像1画像は「YouTube」より

 Szapudi博士らの発表によると、コールドスポットの正体は、なんと直径18億光年にも達する巨大なボイド、すなわち“超空洞”である可能性が高いというのだ。あまりにも広大で空っぽで冷たいこの空洞は球状であり、その中心部と地球は約30億光年しか離れていないのだという。

 研究チームは、NASAの広域赤外線探査衛星「WISE」、欧州宇宙機関(ESA)の天文衛星「プランク」、ハワイ・マウイ島に設置された広視野望遠鏡を用いた「Pan-STARRS計画」などから得られた膨大な天文観測データを駆使して、今回の結論を導き出した。

 最新の理論において、宇宙の構造は、石けんを泡立てた時にできるような何重にも積み重なった泡に例えられる。泡の膜部分に銀河団や超銀河団が存在し、泡の内側には何もない空間がある。それこそが“超空洞(ボイド)”であり、学者たちが議論してきたコールドスポットの正体だったというのだ。博士は、これほど巨大な超空洞(ボイド)は、今までに人間が見つけた宇宙の構造物としても最大クラスのものであるとしている。

 直径18億光年の何もない空間――。考えるだけでも気の遠くなるような話だが、また一歩、人類は宇宙の謎の解明に向けて前進した、ということなのだろう。
(編集部)


参考:「MNRAS」、「素粒子原子核研究所」、「大阪市立科学館」、ほか

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