【共感覚】「父さんはエンドウ豆、母さんはアイスクリームの味がした」 言葉に味を感じる男の不思議な生活
■20歳を過ぎるまで本人も周囲も理解不能
幼い頃からこの感覚を訴えていたにもかかわらず、周りからも、そして自分でも理解できぬまま大人になったジェームズさんは、当時を振り返ってこう語っている。
「私が10歳の時、学校のテストで机に向かったとき、机を転がった鉛筆の音は全粒粉のパンの味がしたんです。それを話すと両親はかかりつけの医者に僕を連れて行ったのですが、医者は僕が多感な年齢だったことからか過度の想像か、あるいは周囲からの注目を求めているのでは、と言っていました。それから11年後に正しくMRI検査を受けるまで共感覚というものについて学んだことはなかったんですが、今回、僕の感じていたこの感覚が本当だということが証明されたんです」(ジェームズさん)
あまりの珍しさからか“オオカミ少年”のような扱いをされていたジェームズさんだが、「イギリス共感覚協会」の会長となった今では、この珍しい感覚についての認知を広め、メカニズムのさらなる解明を手助けすることに満足しているそうだ。
「父さんはエンドウ豆、母さんはアイスクリームの味がした。母さんは時々僕の頭をフリーズさせるんだ」などとジョークを飛ばすなど、この能力について楽観的ではあるが、ひとつ困難なことがあるとすれば映画やテレビを観るとき、その単語の多さから識別不能になるほどの味を感じてしまうことだという。
「普通とは違う能力」と聞くと羨ましく思えるものだが、この能力についてはどうだろう? もの覚えが悪いと自覚する人にとっては最高の暗記方法となり得るかもしれないし、空腹を紛らわすダイエット効果も期待できるかもしれない。あなたの友人に暗記が得意で痩せている人がいれば、第二のジェームズさんである可能性もなくはないかも……?
(文=ODACHIN)
参考:「Oddity Central」、「MotherBoard」ほか
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