シェイクスピアの本当の顔が明らかに?― 世界で唯一「生前の姿を描いたイラスト」が示した“意外な趣味”とは?
5月19日、ローマ人風のトーガを身にまとい、月桂冠を頭にのせ、ユリの花を手にしたこの人物こそ、在りし日の大詩人・シェイクスピアであるというニュースがタブロイド紙「DailyMail」に掲載された――。
■16世紀植物学の文献に“シェイクスピア”を発見
報道によると、植物学者で歴史学者のマーク・グリフィス氏が16世紀の植物学の書籍『The Herball』初版本について調べていたところ、挿絵を発見。その下に書かれたラテン語の暗号を解読すると、この人物がウィリアム・シェイクスピアであるということがわかったのだ。

グリフィス氏は「テューダー朝時代(1485年~1603年)に用いられていた暗号を解いた結果、こんな発見をするができたなんて信じられない」と感激した様子だ。
この発見について、雑誌『Country Life』の編集者マーク・ヘッジス氏は「これは世界で唯一の、在りし日のシェイクスピアを描いた肖像画です。今まで誰も彼の存命中の顔を知らなかったのだから、とても貴重な発見です」と広く世に訴えている。
そう、我々が知るシェイクスピアの肖像画の数々は、彼の死後に描かれたものなのだ。シェイクスピアの死から7年後に出版された最初の戯曲集『ファースト・フォリオ(First Folio)』に掲載された肖像画や、彼の墓所であるホーリー・トリニティ教会に設置された胸像などの有名な肖像も、生きていた頃の彼の姿をとらえたものではない。
■シェイクスピアが古代ローマ人“コスプレ”
ウースター大学の名誉教授エドワード・ウィルソン氏は、当初このニュースに懐疑的だったというが、その後「この絵はシェイクスピアを年代を追って理解するのに最も貴重な史料だ」と、この発見の重要性に言及している。
ちなみに、挿絵にはシェイクスピア以外にも3人の姿が描かれているのだが、その3人はこの本の著者のジョン・ジェラード氏本人と、フラマン人植物学者のレンバート・ドデンス氏、そしてエリザベス朝の重鎮であったバーリー卿であることがわかっているという。
この挿絵でシェイクスピアが手にしているユリとトウモロコシは、シェイクスピアの初期の戯曲『ヴィーナスとアドーニス』(1593年)と『タイタス・アンドロニカス』(1594年)を示しており、頭の月桂冠はギリシア神話のアポロや、古代ローマの詩人のウェルギリウスやオウィディウスにちなんだものであるとみられている。つまるところ、シェイクスピアは“古代ローマおたく”であり、そのコスプレ(!?)をしていたということだ。
ヘッジス氏も、「この古代ローマ風の服装をしたシェイクスピアは、これまでの彼の印象をガラリと変えるものになるでしょう」と語っている。
■発見を否定する辛辣な意見も

しかし、バーミンガム大学のシェイクスピア研究所所長のマイケル・ドブソン教授はこの主張に嘲笑を浴びせている。
「まったくもって納得できない」と語るドブソン教授は「シェイクスピアが植物学の本に登場する理由がわからないし、これを本気で受け止める人が多いとは思わないね」と述べ、この絵がシェイクスピアだというのは「幻覚を見ているじゃないか」とまで言い放っている。
さらに、シェイクスピア出生地に隣接した記念館「Shakespeare Birthplace Trust」のポール・エドモンソン氏も「無理がある」と、懐疑的だ。
この絵が微細な筆致の肖像画ではなく、現代でいうイラストのような線画であるため「誰々に似ている」という解釈の幅が広がる嫌いはあるかもしれない。「世紀の発見か!」と騒がれた今回のシェイクスピアの似顔絵、はたして真相や如何に……。
(文/仲田しんじ)
参考:「Daily Mail」ほか
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