ハイディンガーのブラシ ― 人間の目に隠された「最大のミステリー」 とは?
人間の目は思っていた以上に高性能だった――。我々の目は「色」と「明るさ」のほかにもうひとつの要素を検知できるのだと主張する研究が発表されて話題を呼んでいる。我々が見ることができる三番目のもの、それは“偏光”だ。
■人間には“偏光”を感受する能力がある
一足先に夏真っ盛りという天候が続いている昨今だが、雲ひとつない快晴の夏の青空の下では誰もが太陽光の存在を否応なく実感するだろう。あえて空を見上げなくても、強烈な太陽光の日差しはジリジリと“痛いほど”わかる。
この澄みきった青空から自分に届く光は電場および磁場が特定の方向にのみ振動する光であり、“偏光”と呼ばれる。青空の場合は日の出や日没時など太陽と青空の角度が90度になった時がこの偏光の度合いが最も高くなる。もちろん懐中電灯なども偏光の度合いが高い光だが、電球の周囲に反射板などを備え光をなるべく分散させている。それに比べてレーザーポインタなどは懐中電灯よりもさらに偏光の度合いが高い光を発している。
このように澄んだ青空の下では空からの偏光は実感しやすいが、これが冬の曇天や雨天ならどうであろう。厚い雲が太陽光を極端に弱め、しかも光を分散させるために地上からは今太陽がどのあたりにあるのかも定かではなくなる。この時の空からの光は偏光の度合いが極めて低くなった状態ということになる。
それでも我々人間は、他の脊椎動物に比べればかなりの精度で“偏光”を感じ取ることができるというのだ。つまり偏光を“見る”能力があるのだという。
これを主張しているのは、科学誌「Proceedings of the Royal Society B」に7月1日に掲載されたブリストル大学のシェルビー・テンプル博士率いる研究チームの論文だ。
これまでもタコやコウイカ目、ニジマス、ハチなどは偏光感受性が高いことがわかっており、特にハチはどんなに曇天の日でも日中は常に太陽の位置を把握しており、そこから現在地を割り出して迷うことなく飛行しているといわれている。いわば太陽ナビゲーションシステム、“太陽ナビ”とでも呼べそうな機能を自ら備えているのだ。そしてこれに近い能力を実は人間も持っているというから驚きだ。
英・ブリストル大学の研究チームが24人のボランティア被験者を対象に行なった実験で、参加者が平均で56%の偏光感度閾値を持つことが明らかになったのだ。56%といわれても門外漢にはピンとこないが、人間はこれまで考えられていたよりもずっと高い偏光感度を有していることか明らかになったのである。
参加者の中には25%以下の偏光を感受する能力を持っている者も幾人かおり、コウイカなどの感受性にはまだ及ばないものの、これまで調査したどの脊椎動物よりもはるかに高い感受性であるということだ。人間の能力は以外もスゴかったのだ。
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