【戦後70年特集】日本軍と共に闘った妖怪 ― 「軍隊狸」大活躍の怪
画像は、「豆狸」。Wikipediaより日本が戦争になると、その土地土地の氏神様やお化けたちが、陰ながらに日本軍を支えていたという話がある。古くから自然万物に「八百万の神」の存在を認め、それら全てを畏怖し崇拝するという独自の宗教観を持った日本という国ならではの逸話ではないだろうか。
そんな中、日本軍にとって最も心強い味方になっていた妖怪がいた。それが「軍隊狸」だ。
■狸信仰から生まれた妖怪
「軍隊狸」は、その名の通り軍隊を率いて敵と戦った狸たちであり、その逸話は四国に端を発する。四国では、古来からあちこちに狸が祀られており、狸たちの中には大勢の子分を抱える親分狸もいた。そんな親分狸は、自分を神として崇める氏子たちが外国の戦場で苦戦している姿を見ると、子分を連れて加勢をしに現れたのである。
■日露戦争を勝利に導いた伝説の狸たち
古くは日清戦争の頃から日本軍に協力していたといわれる「軍隊狸」であるが、その活躍ぶりが最も顕著だったのが日露戦争時だ。日本が軍事大国ロシアを相手に戦争に突入したと見るや、香川県高松市の“浄願寺の禿狸”や愛媛県今治市にいた“梅の木狸”などは一族を率いて出征をし、赤い軍服を着た一隊として果敢に敵国と戦ったという。
また、愛媛県伊予の喜左衛門という狸は「変化の術」が得意で、小豆に化けて大陸を渡ると、豆をまくようにパラパラと全軍に散り、敵をかく乱した。これを目の当たりにした敵将アレクセイ・クロパトキンの手記には、「日本軍の中にはときどき赤い服を着た兵隊が現れて、この兵隊はいくら射撃してもいっこう平気で進んでくる。この兵隊を撃つと目がくらむという。赤い服には、○に喜の字のしるしがついていた」との記述があり、未知との遭遇におののくロシア軍の様子を伺い知ることができる。かくして、こんな狸たちの加勢もあってか日本軍は、日露戦争で見事勝利を収めたのである。
■太平洋戦争敗戦の原因は「軍隊狸」の不参加?
日本軍は、その後に勃発した太平洋戦争時にも、妖怪たちの協力を得て戦ったとされている。「天狗が零戦の間を飛び回って敵艦の集中砲火を引きつけてくれた」「九尾狐が野原に火を放ち敵軍の侵攻を止めた」など、その目撃談には枚挙にいとまがない。
ところが、日露戦争で八面六臂の活躍を見せた精鋭である「軍隊狸」が太平洋戦争に出征したという記録は、なぜか全く残されていないのだ。では、どうして日本軍は狸たちの協力を得る事ができなかったのだろう? ジブリ映画『平成狸合戦ぽんぽこ』では、ニュータウン建設によって餌場を荒らされた狸たちが化け学を用いて人間たちを懲らしめる姿が描かれているが、当時の日本軍と狸たちの間にもこのようないざこざがあったのだろうか? 残念ながら、今となってはその真相は闇の中である。しかし、日本が太平洋戦争において敗戦を喫したのは紛れもない事実であり、その敗戦には、最大にして最強の協力者の援軍が得られなかったことが大いに関係しているのは間違いないだろう。
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