秘伝の毒殺技術、乱交パーティー…! ヤバすぎる一族「ボルジア家」の血塗られた歴史

■“自業自得”の最期

 神をも恐れぬモラルハザードぶり、人非人ぶりでまさに“やりたい放題”のロドリーゴだったが、その最期は自業自得ともいえる呆気ないものだった。

 その時もまた、大富豪の枢機卿の財産を狙ってロドリーゴとチェーザレが暗殺を目論んだ案件であった。枢機卿は自らの邸宅でパーティーを開くとして教皇一行を招待したのだが、願ってもないチャンスとばかりにロドリーゴとチェーザレは枢機卿に毒を盛る計画を立てたのだ。

秘伝の毒殺技術、乱交パーティー…! ヤバすぎる一族「ボルジア家」の血塗られた歴史の画像4画像は「Wikipedia」より引用

 しかし文字通り、ここでロドリーゴの運は尽きた。ロドリーゴたちが手土産として差し出した毒入りのワインを、何かの手違いで給仕がロドリーゴとチェーザレのグラスに注いで提供したのだ。

 こうなることを全く予想していなかった2人は、どちらも毒入りワインに口をつけてしまう。ロドリーゴの様子が急変したことで、チェーザレは今飲んだワインが自分たちが持ってきた毒入りワインであることに気づく。医者を呼び急遽宮殿へと帰った2人だったが、ほどなくしてロドリーゴは死去。72歳であった。

 一命を取り留めたチェーザレだったが、中毒の後遺症で皮膚がただれ、かつての美貌は失われてしまう。奇しくも亡きロドリーゴの後に教皇となったのは、毒入りワインで暗殺されるはずであった枢機卿であった。今やすべてを知った新教皇のユリウス2世はロドリーゴのこれまでの悪行を厳しく断罪。生き残ったチェーザレを逮捕する。

 それでもチェーザレは残された悪運の限りを尽くし監禁された独房から脱走する。ローマ教皇領を離れて外国の知人を訪ね歩くが、その過程で当時の反スペイン勢力に保護されることになる。そして一戦士としてスペイン軍と戦い、1507年に戦闘中に敵の攻撃に遭い戦死。31歳であった。

 アレクサンデル6世ことロドリーゴは史上最悪の教皇と呼ばれ、ユリウス2世によってその悪行が世に暴かれたボルジア家はその後急速に没落していくのだが、意外なことに最近はその評価にこれまでにない解釈がもたらされているようだ。この時代の堕落した指導者層はおしなべてアンモラルで残虐非道であり、ことさらボルジア家とアレクサンデル6世をあげつらうこともないのではないか、という指摘だ。

 1500年前後といえば、日本では戦国時代の真っ只中だ。血で血を洗う生き馬の目を抜く時代の波の中では、物事はキレイごとばかりでは済まされないこともあるだろう。ひるがえって今日、時代は明らかに大きなうねりを見せているともいえるが、今の時代にあってこのロドリーゴとボルジア家から何を感じ取るのかは、人それぞれということになるのかもしれない。
(文=仲田しんじ)


参考:「History Extra」、「Wikipedia」、ほか

場末の酒場の片隅を好む都会の孤独な思索者でフリーライター。
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