服部:神秘現象とか心霊現象はないですよ。
石川:オカルト的なものは否定しないけれど、科学的に説明できるものだと理解しています。頭が疲れているときに脳内の作用で、あるはずのないものが見えるように錯覚した経験はあるんですよ。かなりのストレスでヤバいとき、寝起きなんですけれど、目の間に人がいて、僕に乗っかってくるのが見えたんですけど、パンチをしても当たらないんですよね。身体は動くから、金縛りじゃないです。
服部:そういうのなら、山ではたくさんありますよ。沢の音なんて全部人の声に聞こえます。人間の耳って普段聞き慣れた音を拾うから、サラサラサラっていう沢の音から人間の声に聞こえるような音だけ拾うんです。そういう細かいことはいくらでもあるけれど、でも、人間の魂がそこに残っているみたいなのはないですよ。3、4人で山に行ったときに「あれ、もう1人いなかったっけ」みたいなのはあるけど、完全に脳内の作用ですね。ほら、この対談の前に雨が止んで「どちらが晴れ男?」みたいな話になったけど、それっておこがましい感じがしますよね。人間なんてそんな偉い存在じゃないだろうって(笑)。
石川:それはありますね(笑)。
(文=渡邊浩行/YAVAI-NIPPON)
■プロフィール
石川竜一(いしかわりゅういち)
1984年沖縄県生まれ。2010年、写真家 勇崎哲史に師事。2011年、東松照明デジタル写真ワークショップに参加。主な個展に2014年「RYUICHI ISHIKAWA」gallery ラファイエット(沖縄)、「zkop」ATSUKOBAROUH(東京)、「okinawan portraits」Place M(東京)、「絶景のポリフォニー」銀座ニコンサロン(2015年大阪ニコンサロン)、2015年「okinawan portraits」The Third Gallery Aya(大阪)、「A Grand Polyphony」Galerie Nord(パリ)、グループ展に2012年「沖縄本土復帰40周年写真展OKINAWA 0 POINT」(沖縄)、2014年「森山大道ポートフォリオレビュー展」(沖縄)、「show case #3」eN arts(京都)、2015年「野生派宣言!」ongoing(東京)など。写真集に2014年『RYUICHI ISHIKAWA』(私家版)、『okinawan portraits 2010-2012』、『絶景のポリフォニー』、2015年『adrenamix』、2016年『CAMP』がある。2012年「okinawan portraits」で第35回写真新世紀佳作受賞。第40回木村伊兵衛写真賞、2015年日本写真協会賞新人賞受賞。
服部文祥(はっとりぶんしょう)
登山家。山岳雑誌『岳人』編集者。 1969年横浜生まれ。1994年東京都立大フランス文学科卒(ワンダーフォーゲル部)。 オールラウンドに高いレベルで登山を実践し、1996年パキスタンのK2(8611m)登頂。国内では剱岳八ッ峰北面、黒部別山東面などの初登攀が数本ある。1999年から長期山行に装備と食料を極力持ち込まず、食料を現地調達する「サバイバル登山」を始める。2016年、『ツンドラ・サバイバル』(2015年)で第五回「梅棹忠夫・山と探検文学賞」を受賞。『サバイバル登山入門』(2014年)、『百年前の山を旅する』(2013年)『サバイバル! ― 人はズルなしで生きられるのか』(2008年)ほか著書多数。
■写真集インフォメーション
石川竜一写真集
『CAMP』
仕様:W364mm × H273mm
78ページ/ソフトカバー(スリーブケース入り)
デザイン:田中貴志
定価:3,300円 +税
発行所:SLANT
<http://slant.jp/camp_book/>
■写真展インフォメーション
石川竜一写真展『CAMP』
・haveAnice…gallery(台北)
2016年3月18日 – 3月27日
台灣台北市富錦街455號
12:00~19:00 入場無料 会期中無休
・SLANT(金沢)
2016年4月9日 – 4月17日
石川県金沢市広坂1-2-32 2F
12:00~18:00 入場無料 月曜、火曜休廊
■SLANT<http://slant.jp/camp/>
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