身長61cmの“生ける死骸” ― 全身の骨がぐにゃぐにゃになる「骨形成不全症」の恐怖
12歳と言えば育ち盛りだ。数カ月見ないうちに、ぐんぐん背が伸びる年齢である。しかし12歳だったクマーリ・クンティさんは、それとは真逆の道をたどってしまった――。
■9歳の時に歩けなくなり骨が縮みはじめる
クマーリさんは、インド東部にあるジャールカンド州の農村に住む女性で現在25歳になる。しかし彼女の身長は、生後3カ月の乳児の平均身長である61センチしかない。彼女は9歳までは通常の成長をしており、身長も122センチあった。しかしクマーリさんが9歳になると、急に歩けなくなり、成長するどころかどんどん体が弱まり、しかも縮んでしまったのだ。
母親のデヴィさんは、娘はまるで「死骸」のように見えると言い、涙にくれる。現在クマ-リさんは、1日をベッドで過ごす。母親の助けなしに動くことはまったくできない。
もちろん家族もクマ-リさんの病気が悪化するのを、ただ見ていたわけではない。左脚が特に衰弱したので、病院で脚の補強手術を受けた。手術後、症状は改善されかと思われたが、早くも1カ月後には再び悪くなり、ついには立ち上がれないほどになってしまった。そもそもクマ-リさんは物心ついてから、走ったことは一度もなく、歩行すらゆっくりとしかできなかったと振り返る。
成長するにつれて病気は進行し、彼女の脚は縮んで湾曲し、腕もS字型に曲がってしまった。最終的に彼女は歩行不可能な身体となり、1日中ベッドで横になることしかできなくなってしまった。
■難病「骨形成不全症」とは?
この地域の医師であるサティエンドラ・シン医師は、クマーリさんは先天性疾患である「骨形成不全症(Osteogenesis Imperfecta)」と診断している。「骨形成不全症」の症状はさまざまであるが、一般的に患者は骨折しやすく、筋肉の衰弱や骨の湾曲を伴うということだ。この病の原因は、結合組織の主要成分であるI型コラーゲンが生まれつき少ないないなどの異常によるものと考えられている。この病気の発生頻度は、1万5000人から2万人に1人だ。
シン医師は、この病気は完全に治る病気ではないが薬の投与によって、いくぶんか症状の改善を望めると話す。「骨形成不全症」の専門医のいる病院では、治療として骨折変形予防のため髄内釘を体内に埋める手術や骨切矯正、脊椎の固定術などを行う。また最近では有効な薬物療法が発見されたほか、先進的医療としての骨髄移植も行われている。
母親のデヴィさんは言う。「私たちは大都市で高度医療を受けるためのお金を持っていません。わずかなお金は彼女の最初の手術で使い果たしてしまいました」と。そして1日2食の食事を用意することさえ難しいのだと訴える。
しかし悪いことばかりではない。クマーリさんが大都市の病院の診療を受けられるように、村人たちが協力してお金を募ってくれたのだ。それでもまだ診療を受けられる金額には達していないのだが、デヴィさんはクマーリさんが神に守られ、いつの日か歩けるようになることを日々願い続けている。病院で治療を受けて、クマーリさんの病状が少しでも楽になることを祈りたい。
(文=三橋ココ)
参考:「Daily Mail」、ほか
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