5年前では絶対に撮影不可能だった5枚の写真! デジタル革命最前線
■AF能力の向上とスポーツ写真
オートフォーカスが存在しなかったフィルム時代でもカメラマンの神業的なテクニックによって、正確にピントが合わせられ臨場感ある写真は撮影されてきた。とはいえ高感度フィルムによる鮮鋭感の損失など、今からすれば「それなり」というのが本当のところだ。そしてまた、ピントの合わせやすさはレンズの明るさや性能、カメラのファインダーに左右されるのはもちろん、かなりの暗い場所ではさすがに人力では限界があったのも事実である。デジカメがオリンピック撮影などで使用されだしてからも、誌面に掲載するのに耐えうる画質としてはISO800が限界と言われていたような時代、このような写真は到底撮影できなかった。
前項で紹介した超高感度撮影とあわせて暗所でもこのような写真が撮影された先駆けは、2009年の北京オリンピックで撮影された競泳・北島康介選手の躍動感溢れるゴールシーンの写真ではなかろうか。それまでデジタル分野においてニコンはキヤノンに数年の遅れを取っていると言われる中、当時最新のデジカメ「Nikon D3s」で撮影されたそのショットに写真関係者は度肝を抜かれたものである。翌日新聞に掲載された水しぶきをも捉えたその写真を見て、カメラマン仲間内で「一体なんのカメラで撮影したのだろう」と、話題になったのを覚えている。まさにニコンがその底力を見せつけた瞬間であった。
さらに時代は進化し、最高感度ISO12800であった「Nikon D3s」から「Nikon D5」となり、優れた「顔認証」や素早く動く動体を色情報を元に追尾する「3Dトラッキング機能」によって非常に速いシャッタースピードが要求されるスポーツ写真の現場において、実に鮮明なイメージで撮影できるようになった。これにより選手の息遣いまでも聞こえてきそうな臨場感溢れる美しい写真撮影が可能になったのである。
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