今世紀最大! 16世紀の沈没船「ボン・ジェズス号」から13億円を超える財宝が発見される!=ナミビア採掘場
沈没した船から金銀財宝がザックザク――。アドベンチャー映画ではおなじみのシーンだが、そんな夢のような出来事が現実に起こり、しかも史上最大級の発見として現在進行中なのだ。
■ダイヤモンド採掘場で難破船のお宝が見つかる
「FOX News」の記事よりアメリカの「FOX News」電子版(6月7日付)は、アフリカ南部のナミビアにあるダイヤモンド採掘場で、今世紀最大の発見があったと伝えている。
これは2008年4月、ダイヤモンド販売世界最大手のデビアス社が所有する採掘場で、地質調査員が“奇妙なモノ”を発見したことに始まる。それは完全な半円形をした塊で、よく見ると銅製のインゴット(のべ棒)のように見えた。
翌日、調査員はデビアス社のお抱え学者である「南アフリカ海洋考古学研究所」のディーター・ノーリ博士宛にメールで問い合わせた。インゴットのほかに一緒に見つかった金属片、木片、銅かブロンズでできたパイプの画像も添付した。すると博士はパイプを目にするなり、それが一体なんなのか見ぬいたという。16世紀の船舶に搭載されていた大砲の破片に違いなかった。
その後の調査で、インゴットに刻まれた紋章はルネサンス期ヨーロッパの大富豪フッガー家のものであることが判明。これらの品々を検証した結果、1533年にポルトガルからインドへ向けて出航し、そのまま消息不明となったポルトガルの貿易船「ボン・ジェズス号」から流出した積み荷なのではという推論に行き着いた。
採掘場で難破船の遺物が見つかるや、デビアス社は現場周辺の操業を中断、発掘作業をノーリ博士率いる調査チームに一任した。
ボン・ジェズス号がこれまで発見されなかった理由としては、海洋底のさらに深層に埋まっていたこともあるが、大西洋からの強風に阻まれ、人が容易に近づくことができなかったことも影響していたため、チームはまず、荒波をせき止める巨大防波堤の建設にとりかかった。その後、内側にできた人工礁湖から海水を汲み出すことで、干上がった海底から16世紀の沈没船を出現させたのだ。
■莫大な財宝を手に入れるのは誰?
「Independent」の記事よりちなみに、発掘現場一帯は「スケルトン・コースト(骸骨海岸)」と呼ばれている。これは、古くから沖合の海上で発生する濃霧や暴風により座礁する船舶が後を絶たず、運良く生きて陸地にたどり着いたとしても、そこから先は果てしなく広がる砂漠のため、生き延びることが絶望的だったからだ。
そして、ついに今月7日、最初の発見から8年の歳月をへて、13億6000万円相当の金貨を掘り当てることに成功した。サハラ砂漠以南で見つかった沈没船としては最古で、遺物もこれまでで最も歴史的価値があることを鑑みれば、長年の労力も報われたに違いない。
では、一体誰がこの莫大な財宝を手に入れるのだろう? 答えはナミビア政府だ。コイン一枚残らず、政府が没収する。これは難破船が海岸に打ち上げられたときの通常手続きなのだという。
だが、“例外”が一つだけ存在する。それは沈没した船が国家を代表する豪華客船の場合だ。ボン・ジェズス号は、かつてのポルトガル国王が所有していたため、このケースに該当する。しかしながら、ポルトガル政府は今回の権利を放棄し、船も貨物もすべてナミビア政府に譲ると伝えている。太っ腹にもほどがある話だ。
(文=佐藤Kay)
参考:「FOX News」、「News.com.au」、「Independent」、ほか
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