光の速度は不変ではなかった! アインシュタイン相対性理論を覆す「0.96478のゆらぎ」とは?(最新物理)
■物理学の“パラダイム・チェンジ”か
宇宙のはじまりにビッグバンがあり、そして急激な膨張(インフレーション)が起こったことのエビデンスになっているのが、宇宙マイクロ波背景放射(cosmic microwave background)の電波や温度の“ゆらぎ”や“むら”である。
CMBと略される宇宙マイクロ波背景放射は、宇宙空間のどこでもほぼ均一な値で観測されるマイクロ波なのだが、ごくわずかに“ゆらぎ”や“むら”があることが、各種の観測によってわかってきているのだ。
観測されたCMBの指数が“1”であれば、この宇宙空間自体はまったく均一で何事も起らない静寂の世界であることになり、ビッグバンなど起こっているはずもないということになる。しかし、NASA(米国航空宇宙局)やESA(欧州宇宙機関)の探査衛星などが宇宙空間で観測したCMBの指数の値は1よりも少なく、最新のデータでは0.9655である。つまり、宇宙は完全なる静寂の世界ではなく、かつてダイナミックに拡大する動きを見せていたことになり、ビッグバン理論を強力にサポートするものになるのだ。
実はこの研究は1990年代後半から先のジョアオ・マゲイジョ教授らによって発表されているのだが、研究チームは今回、理論上CMBの“ゆらぎ”の指数は0.96478であると算出して公表に踏み切った。今後CMBの観測の精度が向上し、0.96478に一致したその時、ビッグバン理論とインフレーション理論、そして光速の変動性が証明されることになるというのだ。
「もし近い将来、この数字(0.96478)が正しいことが判明した暁には、アインシュタインの理論が修正されることになるでしょう。光速が一定ではないという私たちの主張は、かつてきわめて急進的なものと見なされていましたが、今や数値で検証できる段階にまできたのです」と研究チームは言及している。
光の速度が一定ではないとすれば、アインシュタインの相対性理論は根底から再考が求められることになりそうだ。現代物理学を超える「量子論」の存在感がますます増している昨今だが、ひょっとすると物理学の“パラダイム・チェンジ”が起きる日は、すぐそこまできているのかもしれない。
(文=仲田しんじ)
参考:「Daily Mail」、ほか
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