ファストファッションを支える奴隷労働者たち ― 消された“本当の値段”
■現代の奴隷労働
現代の「奴隷制度」とは人身売買、強制労働、借金による縛り、性売買、強制結婚、そして搾取の全てを指す。地球上の奴隷廃絶を目指す「The Walk Free Foundation」の調査によると2016年現在、世界で奴隷として生活を送る人々は推定4600万人も存在する。
そのような状況の中、児童労働もしくは強制労働を行っている綿花産業の実態が注目されている。世界で5番目に大きい綿輸出国であるウズベキスタン、そしてトルクメニスタン、そしてタジキスタンでは、子どもたちに強制的に綿収穫の仕事をさせているという疑惑が持たれており、またその労働環境も劣悪で健康被害が絶えないという調査もあるのだ。
こうした労働条件を問題視する声も高まってきている。
カリフォルニア州のチャリティ団体「As You Sow」が組織する「The Responsible Sourcing Network(責任ある素材調達を行うネットワーク )」では、ウズベキスタン政府が児童労働と大人の強制労働を止めるまで、ウズベキスタンの綿を使用しない誓約書に264ブランドが署名している。
また、各国政府からも公正な供給ルートを使用することへの圧力を高めている。その結果、小売業者やブランドのオーナーは素材の供給ルートにこれまで以上に注意を払うようになってきており、こうした問題が解決へと前進していることがわかる。
現時点ではこのDNA解析プロジェクトは完全ではなく、ウズベキスタン産と米国産の綿が区別出来る段階らしい。そしてこの検査システムは数年以内には法医学的な正確さまで進化し、綿のグローバル品種を全て区別することができるようになる見通しだというが、ヘイワード氏は、複雑な綿の供給ルートを解明することは他産業の供給ルート問題に取り組む際の良い例となると話す。
「もし綿の供給ルートの不正が是正出来るなら、医薬業界の供給ルートで起きている偽造問題なども容易に修正することができるはずです」と話す。
ファストファッションブランドのTシャツは驚くほど安く、お洒落で、魅力的だ。しかし、そのTシャツが実は奴隷や子どもの労働によって作られた物だとわかったなら……。
(文=三橋ココ)
参考:「Daily Mail」、「The Walk Free Foundation」、ほか
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