カムチャツカ巨大地震は「環太平洋火山帯」を目覚めさせるのか?専門家が語る“火山一斉噴火”の可能性

カムチャツカ半島での大地震は環太平洋に幾多ある火山の眠りを覚ますのか――。もしも「環太平洋火山帯」の火山が一斉に噴火すれば地球滅亡レベルの壊滅的自然災害になることは間違いない。
■「環太平洋火山帯」破局的一斉噴火は近いのか?
7月30日、ロシア極東・カムチャツカ半島でマグニチュード8.8の巨大地震が発生し、日本でも津波警報が発令されたが、震源地エリアにあるユーラシア大陸で最も高い活火山であるクリュチェフスカヤ火山が噴火している。地震が火山の噴火を引き起こしたのだろうか。
環太平洋の全長4万㎞のリング状の火山帯「環太平洋火山帯」には425を超える火山があり、地球上の活火山の75%を占めている。その中にはアメリカのセントヘレンズ山、日本の富士山、スンダ海峡のクラカタウなど、世界最大級の火山が含まれている。これらの火山が巨大地震によって一斉に噴火する破局的事態は起こり得るのか。
スウェーデン・ウプサラの大学の火山学者、バレンティン・トロール教授は「地震の衝撃波は地震の震源地から数百から数千キロも移動し、すでに噴火寸前にある火山や火山系を揺さぶる可能性があります」と英紙「Daily Mail」の取材に応える。
「これにより、影響を受けた地域で火山活動の頻度が高まる可能性があります」(トロール教授)
環太平洋火山帯にあるすべての火山がもしこ一度に噴火したら何が起こるのか?
噴火した火山付近の住人は、落石、有毒ガス、致命的な土砂崩れ、そして沸騰するほど熱い火砕流の危険にさらされ、地域レベルで甚大な被害をもたらす。
そして被害は地球規模にも及ぶ。
火山が噴火すると、大量の硫黄と塵が上層大気に放出され、噴火後何年も太陽を遮る可能性がある。
「2~5年にわたる影響が予想され、平均気温は最大1度低下する可能性があります。夏は雨が多く寒く、数年間は作物が全く育たないでしょう。ヨーロッパでは、食料を他国から購入することで飢餓を回避する可能性が高いでしょうが、恵まれない地域では飢饉が起こる可能性があります」(トロール教授)
しかしこれは世界がこれまで経験した最悪の気候災害ではなく、絶滅レベルの出来事にはなりそうにはないという。そして環太平洋火山帯の火山が一斉に噴火する可能性はきわめて低く、まずあり得ないということだ。

英サウサンプトン大学のプレートテクトニクスの専門家、リサ・マクニール教授は「過去20年間に世界中で大きな地震が何度かありましたが、広範囲にわたる火山噴火は引き起こしませんでした」と同紙に説明する。
「平均すると、カムチャツカ地震と同等以上の規模の地震は約10年ごとに発生しており、数百年前まで遡っても、非常に広範囲にわたる火山噴火は発生していません」(マクニール教授)
そもそもすべての火山が地震によって暴発するような「一触即発」の状態にあるわけではない。
火山活動には、マグマだまりが噴火の準備が整うのに十分な圧力を蓄えるために、少なくとも数カ月の蓄積期間が必要である。そのため科学者たちは、火山が噴火に近い状態にある場合にのみ、地震が噴火を引き起こす可能性があると考えている。
実際、カムチャツカ半島のクリュチェフスカヤ火山は今回の地震の数カ月前にも噴火しているのだ。
「地震が火山の実際の噴火の引き金となりましたが、いずれにしても数日、数週間、あるいは数カ月以内に噴火していた可能性もあります」(マクニール教授)
地震の規模がどんなに大きくても、環太平洋火山帯にあるすべての火山が一斉に噴火するシナリオはほぼあり得ないということでまずは一安心だが、とはいっても災害への備えを怠ってはならないのは言うまでもない。
参考:「Daily Mail」ほか
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2024.10.02 20:00心霊カムチャツカ巨大地震は「環太平洋火山帯」を目覚めさせるのか?専門家が語る“火山一斉噴火”の可能性のページです。火山、噴火、地震、自然災害、環太平洋などの最新ニュースは好奇心を刺激するオカルトニュースメディア、TOCANAで
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