急速に普及する電子タバコ、本当に害は少ないの? 海外電子タバコ事情を独自取材

 16世紀末に海外からもたらされたタバコは、嗜好品として日本にも定着した。しかし近年、タバコの値上がりや規制などで国内の喫煙率は減少傾向にある。その紙巻タバコに代わって現在市場が拡大しているのが、電子タバコだ。12月1日付の英紙「Mirror」に掲載された記事を元に、電子タバコについてご紹介したい。

急速に普及する電子タバコ、本当に害は少ないの? 海外電子タバコ事情を独自取材の画像1Mirror」の記事より

■スタイリッシュな外観に隠されたその危険性とは?

 手のひらに収まる大きさの装置の中にある小さなコイルを発熱させ、乾燥葉や液体を霧状化する電子タバコ。今日、欧米だけでなく日本でも利用者が急増している。しかし、さまざまなフレーバーが楽しめる電子タバコの原料である化学物質が、とある調査では推奨される安全レベルの何と250倍以上の数値を記録したという。これを受けて、利用者ががんに罹患する危険性が高いのではないかと科学者たちが訴えているようだ。

 これまでの研究で、香りを楽しめる液体(リキッド)の成分は特定されていた。しかし、そのリキッドが煙に変化した時に一体何が起こっているのか、すべてが明らかにされているわけではなかった。今回、電源を入れて急速に発熱することでリキッドが蒸気に変換される際に分解されるいくつかの成分から、毒性が強く、発がん性があるとされるホルムアルデヒドを含む有毒物質が発生することが判明したという。その量は、アメリカ産業衛生専門家会議が設定した安全とされる基準値のなんと1.5~270倍に達すると記事は伝えている。

 アルデヒド類は有機化合物の一種であり、繊維やゴム、食物やプラスチック、そして薬品などにも用いられているが、多くの生物にとっては有害であり、特にホルムアルデヒドは濃度によって炎症を起こす原因となる。2009年、国際がん研究機関によってホルムアルデヒドには発がん性があると警告され、2010年には、米国環境保険庁によって白血病、リンパ腫などのリスクが発表されている。電子タバコは、通常のタバコよりも含まれる有害物質が少ないとして販売される傾向にあるが、吸引する蒸気中にアルデヒドが少なからず形成されているようだ。

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