チンパンジーが宗教を獲得した証拠か? 木の穴に岩を集めて投げつける“謎の儀式”が確認される!

 神社や寺で、あるいは山や海辺で、石を積んだことはないだろうか。幼くして死んだ子どもは賽の河原で石を積むという伝承もあるように、石を集めて積むことは原始的な宗教行為の一つだ。最近、西アフリカの一部に生息するチンパンジーが、木の穴に石を集めて積み上げ、さらに投げつけるという謎の行動に走っているという。これはチンパンジーたちの「儀式」なのだろうか? そうだとしたら、その目的は? 海外メディア「Bigthink」が報じている。

■チンパンジーの奇妙な行動

チンパンジーが宗教を獲得した証拠か? 木の穴に岩を集めて投げつける謎の儀式が確認される!の画像1画像は「Scientific Reports」より引用

 今回、奇妙な行動が観察されたのは、西アフリカのギニアビサウ、コートジボワール、リベリアに生息するチンパンジーたちだ。チンパンジーたちは木のうろに、両手で持てるくらいの岩をいくつも集めている。そして時折、1匹のチンパンジー(たいていはオス)が現れ、集めた岩の1つを掴みあげると、その木から少しだけ離れる。そして唸り声を上げながら、今度は勢いよく岩を木に向かって投げつけるのだ。その後、岩は再び穴に戻されて、再利用される。

 この奇妙な行動は、同地域より東に生息するチンパンジーの群れでは見られないという。研究者たちは、無人カメラをセットしてこの謎の行動を撮影することに成功した。謎の行動と食料獲得や交尾などには関連性がみられず、その目的は不明のままだ。大声を出して岩を木にぶつけるという行動で自分の力を示しているという見方や、岩や木が縄張りを示す印であるという見解もある。観察の結果は論文にまとめられ、オンラインジャーナル「Scientific Reports」に掲載された。

■チンパンジーは宗教を知ったのか?

 チンパンジーはとても手先が器用な動物だ。石を道具として用いて、ナッツやフルーツを食べやすくしたり、尖らせた枝を槍のようにして狩りに用いたりする姿も観察されている。だが、石を集めて木に投げつけるという、直接的に生存に関与しないような行動が観察されたのは初めてであるという。

 チンパンジーたちの奇妙な行動は原始的な宗教儀式なのか、それとも儀式のように見えるただの遊びに過ぎないのか。専門家の意見は分かれている。論文著者の1人、ローラ・ケホー氏は「チンパンジーの行動が宗教的な儀式の始まりであり、岩を集める木は彼らの聖地である」と見ている。実は似たような石積みが、西アフリカの先住民による宗教儀式でも確認されているのだとか。

 人間と他の動物との大きな違いの一つは精神性にあり、宗教はその最たるものだ。果たして、チンパンジーたちは「聖なる場所」や「儀式」といった宗教的な観念を獲得したのだろうか。今後の研究が楽しみである。


参考:「Bigthink」、「Scientific Reports」、ほか

文=吉井いつき

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