最先端ゲノム編集「CRISPR」が2017年に成し遂げた11の偉業がスゴスギル! 半合成生命体の誕生、HIVウイルスの除去、DNAメモリー化…
遺伝子の編集、改変技術は極論すれば生物の成り立ちそのものを操作するという“神の領域”に踏み込む技術でもある。そして現在、人類はこの分野において着実に神の領域へと歩みを進めているのだ。画期的なゲノム編集技術、CRISPR(クリスパー)によって今年に入ってから11もの革新的な“偉業”が成し遂げられている。
■急速に進展を遂げるゲノム編集の最前線
2013年に実用化された画期的なゲノム編集技術がCRISPR/Cas9(以下、CRISPR)だ。CRISPRは細菌が持つ免疫システムの働きを活用することで、これまでの技術とは比較にならないほど正確なゲノム編集を可能にした。これにより医療分野を中心に、CRISPRが幅広い分野で革新的な役割を担う技術であることが確実視され、実際に各方面で最先端の研究が盛んに行われている。
2017年はまだ4カ月以上残っているが、年内に入ってからなんとCRISPRを使った11もの“偉業”が報告されている。急速な進展を遂げるゲノム編集の最前線を以下に紹介したい。
1. ヒト胚の遺伝子編集に成功
先日のトカナの記事でもお伝えしたように、アメリカの研究チームがCRISPRを使って心臓病の原因となる遺伝子変異を受精卵から除去する実験に成功している。まさに“神の領域”に踏み込む実験であるともいえることから倫理的な問題を懸念する声も聞かれるが、米科学アカデミー(NAS)は今年初めにゲノム編集技術開発に関する規制を緩めており、その結果、こうして実際にヒト胚のゲノム編集が成し遂げられることになったのだ。
2. マウスのHIVウイルス除去に成功
中国の研究チームはHIVに感染させたマウスからCRISPRを使ってHIVウイルスを完全に消滅させることに成功した。しかもたった1度の遺伝子治療によって、マウスの臓器と体組織からHIVをすべて取り除いたのである。人間のHIV治療に大きな可能性を開く研究であることは間違いないだろう。
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