喫煙習慣、イライラ、躁鬱、不健康は全部“ネアンデルタール人の遺伝子”のせいだった! 現代人に残された混血の痕跡とは?
■ネアンデルタール人がくれたもの
とはいえ、この結果をもってさまざまな病気や喫煙習慣、気分の浮き沈みの激しさなどを祖先のネアンデルタール人のせいにして責めてはいけない。ネアンデルタール人の遺伝子は初期の人類が新しい環境に適応するための手助けだけでなく、疾病予防の働きをしてくれたこともわかってきた。例えば、今回の解析でネアンデルタール人から現代人へと受け継がれたとされる遺伝子の中には、動脈硬化を防ぐようなものも見つかっているのだ。
今回見つかったネアンデルタール人由来の遺伝子がつかさどる部分、つまり肌の色、髪の色、日焼けのしやすさ、睡眠パターンなどは全て日光と関係している。ネアンデルタール人はおよそ56万年前にはアフリカからヨーロッパに進出していたが、人類がアフリカを出たのはおよそ10~15万年前のこと。ネアンデルタール人は出アフリカの大先輩である。すでにヨーロッパ・アジアに適応していた彼らの遺伝子は、我々の祖先にとって大いに助けになったのは間違いない。
また、今回の解析ではネアンデルタール人について新たな事実が判明した。一つは肌や髪の毛の色に関してで、彼らも現代人と同じく、明るい色と暗い色、両方の色を持っていたことがわかった。さらに、過去の解析で浮かび上がったネアンデルタール人の近親相姦疑惑も否定された。過去に解析されたネアンデルタール人では両親が近い血縁関係にあったと判明したケースがあったが、今回のネアンデルタール人女性では明確に否定され、彼女は約3000人程度の集団にいたと推測された。
アジア人とヨーロッパ人の遺伝子のおよそ2.6%がネアンデルタール人由来だといわれている。ネアンデルタール人はおよそ3万年前に死に絶えてしまったが、その形跡は確かに我々の中に残っているのだ。
次のステップは、なぜ彼らの痕跡が今も我々のゲノムに残っているかという謎を解くことだ。ネアンデルタール人由来の遺伝子は、喫煙などの習慣や統合失調症などの疾病に関わる遺伝子であったが、なぜ現在に至るまでの長い年月に排除されずに残ったのか? 研究者らが出す、次の答えに期待したい。
参考:「Daily Mail」、「Science Alart」、「Science」、ほか
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2024.10.02 20:00心霊喫煙習慣、イライラ、躁鬱、不健康は全部“ネアンデルタール人の遺伝子”のせいだった! 現代人に残された混血の痕跡とは?のページです。クロアチア、DNA、遺伝子、統合失調症、人類、ネアンデルタール人、喫煙、ゲノム、吉井いつき、コレステロールなどの最新ニュースは好奇心を刺激するオカルトニュースメディア、TOCANAで