「我々の意識や魂は、量子情報として脳に保管されている」説は正しいのか？ 「量子脳理論」「Posner分子」「イオンチャネル」が解き明かす人間存在に迫る！

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画像は「BBC」より引用

■脳内コンピュータ、新たな可能性

　では、脳の中に量子コンピュータは存在しないのだろうか？　2015年、米・カリフォルニア大学サンタ・バーバラ校の理論物理学者マシュー・フィッシャー氏が興味深い仮説を提示した。脳内の「Posner分子」が量子ビットとして働くのではないかというのだ。Posner分子はカルシウムとリン酸からなる分子で生きた細胞内に存在するとされる。脳内はデコヒーレンスが起きやすい環境であるが、Posner分子は一日かそれ以上の時間、重なり合いや量子もつれの状態を維持できるというのである。この分子は神経細胞に入り込み、イオンチャネルの働きを調節する可能性があるという。ただし、この理論は現時点ではあくまで仮説であり何の証拠もない。

　量子力学はテレパシーやチャネリング、アセンションといったニューエイジ系やスピリチュアル系の用語解説にもしばしば使われる。だが残念なことに、量子力学はいまだに脳や心、そして魂を記述するまでには至っていない。テレパシーどころか一つの脳の中で起きていることすら説明できないでいるのだ。果たして我々の意識は量子力学によって形作られているのか？　その答えが出る日が待ち遠しい。

参考：「EWAO」「BBC」、「Cornell University Library」、ほか

文＝吉井いつき

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