南極で検出された幽霊粒子の“発生源”を特定! 40億光年彼方の「TXS 0506+056」1カ所からやってきている!?
神出鬼没の“幽霊粒子”の姿がついにとらえられた。しかもそれは、40億光年の彼方からやって来ていたのだ――。
■ニュートリノの“出生地”はTXS 0506+056
どんな壁も通り抜けてしまう幽霊のように神出鬼没で、捕まえようにも地球さえ貫通するためつかみようがない“幽霊粒子”、それがニュートリノだ。
このきわめて観測が難しいニュートリノをとらえ、その“出生地”を特定した研究成果が先日発表された。地球の南極点で観測されたニュートリノはなんと、40億光年も離れた天体からやって来ていたのである。
ニュートリノは電荷を持たないため、他の物質とほとんど相互作用(衝突)をせず、直接検出することができない。しかしながら稀に氷の中の水分子に衝突し、それぞれに対応した電荷を持つレプトン(電子、ミュー粒子、タウ粒子等の素粒子グループ)が発生する。そして、これらの粒子の速度が氷の中での光速よりも速ければ「チェレンコフ光」が発生し、最先端の機器を使って検出することができるのだ。
南極点にある国際的なニュートリノ観測施設「アイスキューブ(IceCube)」のチームは、昨年9月23日に300テラ電子ボルト弱というきわめて高エネルギーのニュートリノを観測した。
ニュートリノは宇宙空間の中をほとんど何の干渉も受けずにほぼ光速でまっすぐ一直線に進んでくる。その後、研究チームがこの時のニュートリノの放射源天体、つまり“出生地”を研究したところ、遠く銀河系外の約40億光年離れた場所にある「TXS 0506+056」と呼ばれる天体であることが突き止められた。オリオン座に近い場所にこのTXS 0506+056があるということだ。
TXS 0506+056はブレーザー(blazar)に分類されるが、このブレーザーとは巨大楕円銀河の中心にある大質量ブラックホールがエネルギー源となって明るく輝く天体である。つまりその中心にブラックホールを擁しており、とてつもない高エネルギーを宿しているとされている。
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