【閲覧注意】20年間「樹海」を取材し続けた村田らむ氏が「これまで発見した頭蓋骨」解説! 心中した悲しい骨も…

■転がる頭蓋骨

【閲覧注意】20年間「樹海」を取材し続けた村田らむ氏が「これまで発見した頭蓋骨」解説! 心中した悲しい骨も…の画像7撮影/村田らむ

 前述した、釣崎さんと行く樹海合宿ツアーの時に見つけた骨である。

 この周辺は、樹海散策者があまり入らない場所だった。そのためあまり死体は発見されず、白骨化してしまうケースが多い。

 つまりKさんにとっては“ハズレ”の死体が多いのだ。

 窪地に倒れた倒木にロープをかけて首を吊った死体だった。

 厳重に何十にも綱を束ねて輪を作っていた。その下には、骨が落ちていた。ただ坂になっていたので頭蓋骨は転がっていた。頭蓋骨は骨になってしまうと、中身が空っぽのボールになるのでよくどこかに行ってしまう。頭だけどこかに行ってしまっている死体はよくあった。

 どうせならロープと頭蓋骨をセットで撮りたかったな……と思っていると、先輩がササッと頭蓋骨をロープの下に持ってきて写真を撮り始めた。

「この手があったか!!」と小生、目からウロコが落ちた気持ちになりました。

【閲覧注意】20年間「樹海」を取材し続けた村田らむ氏が「これまで発見した頭蓋骨」解説! 心中した悲しい骨も…の画像8撮影/村田らむ

 おそらく十年近くは樹海にいた骸骨だけあって、色は緑色と茶色に染まっていた。自然に白い斑点ができていたのが綺麗だった。

 歯はほとんどなくなっていたが、これは死ぬ前からなかったのか、死後なくなったのかわからない。

 僕は動物の骨格標本を作るのが趣味だが、肉を削いでグツグツと茹でているうちに、前歯はツルツルと抜けてしまう。よっぽど丁寧に作らないと、全ての歯を揃えるのは難しいのだ。恐らく人間の頭蓋骨も同じだろう。何年も風雨にさらされて転がっている間に抜けてしまったのかもしれない。

 手足の骨はまるで並べたかのように整然とならんでいたが、こちらは自然のままだった。

 とにかく先輩のおかげでとても良い写真が撮れた。

■心中カップル? の骨

【閲覧注意】20年間「樹海」を取材し続けた村田らむ氏が「これまで発見した頭蓋骨」解説! 心中した悲しい骨も…の画像9撮影/村田らむ

 そして最後は、Kさんがかつて見つけた骨だ。

 2人の骨が数メートルしか離れていない場所にあった。たまたまとしては近すぎる距離だ。頭蓋骨だけ見て、男女を判別することはできないが、状況から見て心中かもしれない。

 樹海でも2人で死んでいるパターンはたまにあるようだ。

 片方の骨は半分埋まっていたため、またしても先輩の超法規的措置でサクッと裏返して写真を撮らせてもらった。

 葉っぱが張り付いているのが、またなんとも切ない感じになった。

 もう一つの頭蓋骨はあまり汚れておらず、白骨化していた。なかなか状態がいい……。

【閲覧注意】20年間「樹海」を取材し続けた村田らむ氏が「これまで発見した頭蓋骨」解説! 心中した悲しい骨も…の画像10撮影/村田らむ

「なんだったら持って帰っても、見て見ぬふりしますよ」と声が聞こえた。Kさんがニコニコ笑顔で言っている。

 ぐぐぐっと物欲が動いたが、でも心中で死んだのなら、2つの頭蓋骨を引き離すのはかわいそうだよな……。そう思ってあきらめた。

 でも帰り道に、もし片方が樹海で殺されて、その後に自殺したのだったら、一緒にいたくなかったかもな。持ってくりゃよかったかな? と思ったりした。

 というわけで、前半はここまで。

 後半もまた、樹海に転がる骸骨たちを見ていきましょう。


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松原タニシ
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文=村田らむ

ライター、漫画家、カメラマン、イラストレーター
1972年生まれ。キャリアは20年超。ホームレスやゴミ屋敷、新興宗教組織、富士の樹海などへの潜入取材を得意としている。著書に『ホームレス大博覧会』(鹿砦社)、『ホームレス大図鑑』(竹書房)、『樹海考』(晶文社)、『ホームレス消滅』(幻冬舎新書)など。

Twitter:@rumrumrumrum

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