『RAW SOUL』李岳凌/赤々舎
――最後に、『RAW SOUL』は音楽が聞こえてくるような写真集だと思います。ご自身はどう考えていますか?
李 本来のタイトルは『Listen in the Dark』だったんですよ。しかし、私の経歴や背景を知らない読者に先入観をもたらし、単なる都市の夜間撮影だと誤解される懸念があると指摘され『RAW SOUL』になりました。
――やはりサウンド的な要素があったんですね。『RAW SOUL』というタイトルに変わったことに思うことはありますか?
李 『Listen to the Dark』というタイトルは「聴く者」と「聴かれるもの」という主客二分を避けられません。一方で、『RAW SOUL』は何か意味付けされる前の、ありのままの姿形を意味します。それは、台湾人の世界を差しながらその中の私自身をも指す、主客不分の状態ですから、様々な要素を重層的に含められるという理解でいます。
とはいえ、作家みずからが説明するよりも、読者のみなさんが私の作品から何かを感じ、何かを発見できたとすれば、それこそが私にとってこのうえない賞賛なのです。
■作家インフォ
李岳凌(リー・ユエリン)
1976年、台湾台北市生まれ。2001年より音響芸術活動を開始。2011年、独学で写真を始める。2016年、Young Art Taipei ポートフォリオレビュー グランプリ受賞。
・http://yehlinlee.com
『RAW SOUL』李岳凌/赤々舎
■写真集インフォ
『RAW SOUL』
アートディレクション:松本久木
サイズ:260mm×258 mm 上製本、118ページ
価格:4,500円+税 発行:赤々舎
・http://www.akaaka.com/publishing/books/new-books/rawsoul.html
コーディネート、翻訳・池田リリィ茜藍
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