月と地球はドーナツから生まれた双子だった!? 月誕生にまつわる新説「シネスティア説」登場、ジャイアント・インパクト説は間違いか?
ドーナツ状といっても穴はなく、円形のクッションのような形で、中心に地球の原型となるコアがあり、自転を続けながら表面からゆっくり冷えて徐々に縮小していったということだ。
そしてこの縮小していく過程で、コアの部分が地球になり、コアの周辺にできた澱のような部分が小さいながらも求心力を持ちはじめて月の“タネ”になり、徐々にその質量を増やして“成長”していったという。
研究チームによれば、このシネスティアの状態は天体としてはせいぜい数百年しか続かない不安定な状態であり、宇宙的な時間感覚からいえば急速に縮小していく過程である。収縮の過程がある段階に達したところで、月の部分が切り離されて別の天体になる。そして双方ともにソリッドな天体になるまでさらに縮小していき、その過程で月は地球の衛星軌道上で周回するようになったということだ。
つまりは、現在の地球も月も同じ“材料”から作られたということになる。アポロ計画で持ち帰られた月の岩石と地球の“成分”がほぼ同じであることの説明にもなる。
「したがってジャイアント・インパクト説は間違っています」と研究チームのサラ・スチュアート氏は語る。シネスティア説によれば、地球と月はまさに双子の兄弟だったことになるが、月にはまだまだ謎は多い。地球に暮らす人類にとって最も身近な天体である月について、ニュースがあればまたお伝えしたい。
(文=仲田しんじ)
参考:「Daily Mail」、ほか
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