人間の脳が“小さな記憶違い”を起こすメカニズムが判明! 具体と抽象の間を彷徨いながら… 記憶の不確実さは絶望級!(最新研究)
実験では、まず参加者にさまざまな物体の画像と単語の組み合わせ(例:てんとう虫の画像と「Cut」という単語)を覚えてもらう。参加者の頭には脳の活動を調べる128個の電極がつけられ、脳の活動状態からどのような画像を見ているのかを判断できるようにコンピュータアルゴリズムを訓練した。その後、単語を提示してそれと組み合わせられていた画像をできるだけ詳細に思い出してもらう。このときも、単語を聞いた脳ではどのような情報を考えていたのか、脳の活動状態から判定するアルゴリズムが用いられた。
「私たちが知っているように、記憶はそのオリジナルとなる経験の正確なレプリカではありません」(Domingo氏)
最初に画像を見た時、脳内ではまずパターンや色といった視覚的な詳細が知覚され、それが犬なのかギターなのかといった物体を抽象的に示す情報は、その後に現れた。だが、思い出してもらった時に最初に知覚されるのは、動物か無生物かといった“さらに抽象的な情報”で、色や形などの具体的な情報は後から現れたという。
「私たちの記憶は鮮やかなイメージとして私たちの“内なる目”に現れるように感じられますが、実際にはそれは過去の単純なスナップショットではなく、再構成されてバイアスのかかった表現です」(Domingo氏)
研究チームは現在、抽象的なことから詳細へと記憶を再生するという流れが、脳内で固定されているものかどうか調査中だという。また、より複雑な記憶を脳内でどうやって再構成しているのかも検討中だという。この仕組みの詳細がわかれば、老化やさまざまな障害で記憶に問題が起こる原因やその治療にも役立つとのことだ。
さらに研究が進めば、人間の記憶のいい加減さや曖昧さも、いずれは技術的に“解決”される日がくるのだろうか。記憶力が良くなるのは歓迎だが、朝使ったコップのことまでは覚えていたくない。とはいえ、何か事件に巻き込まれた時に、犯人の顔や服装の詳細まで思い出せるようになれば、捜査には大きく役立ちそうだ。
(編集部)
参考:「Nature Communication」「University of Birmingham」、ほか
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