選ばれしキャバ嬢による「プロ孫」の世界 ― 1年間の研修、3つの書類、致命的ミス… 本当にあった“罪深き世界”

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画像は「Getty Images」より引用

 研修所には彼女と同じような生徒が全部で5人、通っていました。みな彼女の周囲にいる友人とはかけ離れたタイプの人たちでした。なんというか、遊んでいない、いや純朴で、まっすぐで、善人で。そして女性の場合、メイクもキャバ嬢時代には考えられなかったぐらい大人しいメイクの子ばかりでした。

 それで、みんなで演出家の先生の選んだシナリオを手に、俳優のような練習をする。内容は、不安や苦難があってもまっすぐ前を向いて生きている若い子の芝居が多かったといいます。

 研修所に通い始めて3カ月ほど経つと、陽菜にも彼女自身の役がもらえるようになりました。それは「口数は少ないけど、他人の話を面白そうに聞くのが好きな少女・鳩岡まゆみ」という役でした。演出家さんが半年ぐらい彼女を観察して、彼女が一番違和感なく演じられる「善人」のプロフィールを事細かに設定してくれたのです。

 稽古の時間の後半は、役を演じながら他の人と一緒に生活をするというトレーニングでした。そこでは、鳩岡まゆみになり切って参加しなければならない。そして毎回ゲストとして違う設定の老人役の俳優さんがやってくる。気難しい人、のんきな人、おかしな趣味を持っている人――。それぞれの設定を聞いたうえで、その人とどううまく過ごすかを即時に考えてふるまう。

 鷹見陽菜だったら、ちょっと距離を置いて、たばこを吸って気持ちを落ち着けるはずのところを、鳩岡まゆみだからニコリと笑って「でもそんなの大丈夫ですよ」と相手を励ますように行動しなければいけない。とにかくその人になりきって行動する稽古を、彼女は最終的には1年間続けました。

 そしてある日、彼女は実習に出ることになりました。

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