世界初! 量子もつれが画像で捉えられる!! 光速を超える相互作用の”不気味な神秘”の可視化に成功!

 かのアルバート・アインシュタインが「不気味な遠隔作用」と呼んだ量子もつれが、世界で初めてカメラに収められた。偉業を成し遂げたのは、英グラスゴー大学の物理学者らだ。

■世界初! 量子もつれを撮影

 かすれた輪のように並ぶのが、もつれた光子のスピンである。 物理学者たちは量子光源から発せられた光子を従来にない手法で照射することによって、液晶上に可視化することに成功した。

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「Sky News」の記事より

 同大学に所属する天体物理学者、ポール・アントイン・モロー氏は、その意義について以下のように述べた。

「私たちが捉えた姿は天然の基本性質を簡潔に示すもので、画像としての形で初めて目にすることが出来ました。この素晴らしい結果は量子コンピューティングの発展を促し、可視化の分野においても新たな風を吹き込むでしょう」

■相対性理論を脅かした局所性

 私たちが今回の成功を“偉業”として讃えるためには、さしあたって「量子もつれ」に対する理解が不可欠だ。

 量子とは、粒子と波の性質をあわせ持つ物理量の最小単位であり、具体的には物質を形作っている原子と、その構成要素である電子・中性子・陽子などを指している。もちろん、実験に用いられた光の粒子、光子もここに含まれる。

 また量子がもつれるとは、異なる運動・スピンがひとつの量子の上に同時に存在している状態を指し、この量子を観測した瞬間に、いままで同時に存在していた異なったスピンの向きが、一方向へ確定するという性質を備えている。

 かかる性質は量子を構成する粒子がエンタングルメント(もつれ)関係を結んでいるために生じるもので、粒子間の距離がどれだけ離れていようと変わらない結果がもたらされる。これが遠隔作用の「非局所性」だ。

 すなわち、理屈の上では粒子の距離が何光年と離れていても結果が伝達されるので、これらの粒子の間を媒介するものがあれば、光の速さを超えてしまう。

 光より早いものはない――そう定義された相対性理論と相いれない現象であるがゆえに、アインシュタインはその局所性を「不気味」と称する他なかったのである。

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「Science Alert」の記事より

■破られた「ベルの不等式」と進む実用化

 1964年、物理学者ジョン・スチュワート・ベルは、アインシュタインを困惑させた違和感の正体を「ベルの不等式」として表した。この不等式の破れを見つけるとき、量子もつれは実在のものとしてこの世に現れる。

 以来数十年間にもわたり、量子力学の上において、暗中模索の議論と研究が積み重ねられてきた。そうして1980年代に至り、あらためて不等式が成立しないことが確認され、量子もつれが現実に生じていることが証明されたのだ。

 今日では量子もつれは、量子コンピュータや、暗号化などの実用的なアプリケーションに利用されている。

 ただし、目に見える形で撮影されたのは今回が初めて。そのようなわけで、一見して不鮮明に感じられるイメージには、印象をはるかに超えた価値が秘められているのである。

参考:「Sky News」、「Science Alert」ほか

文=Forest

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