隕石の爆破で落下回避は無理だった! 重力により破片がすぐに再結集するとシミュレーションで判明!
先月25日、直径130mほどの小惑星が地球近傍を通過した。衝突すれば1つの街を壊滅に追いやるほどの威力を持つ小惑星だったが、天文学者がその存在に気づいたのは最接近のわずか数日前だったという。衝突しなかったから良かったものの、地球と月の距離の5分の1の距離を通過するという冷や汗の出る状況だった。
NASAの惑星保護管であるリンゼイ・ジョンソン氏によると、地球との衝突軌道にある小惑星の軌道を変更する技術の開発には、まず軌道変更用の宇宙船を製作するのに数年、さらにそれを標的となる小惑星に到達させるのに数年かかるため、少なくとも10年前には衝突危険のある小惑星を検知しなくてはならないという。
衝突が数日前に分かったところで、今の人類に成す術はほとんど残されていない。唯一あり得るとすれば、SF映画『アルマゲドン』のように、核兵器で小惑星を爆破するという荒技だが、どうやら小惑星を首尾よく爆破しても人類に未来はないようだ。
■小惑星を爆破しても重力で破片が再結集
英紙「The Independent」(3月4日付)によると、爆破したところで小惑星はバラバラにはならないことが最新の研究で判明したという。
・「ASTEROIDS ARE MUCH HARDER TO BLOW UP IN ORDER TO SAVE EARTH THAN WE HAD THOUGHT, SCIENTISTS WARN」(The Independent)
「大きければ大きいものほど亀裂がある可能性が高いので、壊しやすいと考えられてきましたが、小惑星は我々の想定よりも強く、完全に粉々にするには想像以上のエネルギーが必要だと分かりました」
そう語るのは、米・ジョンズ・ホプキンズ大学の物理学者エル・ミール氏だ。ミール氏ら研究チームは、最新のコンピュータモデルで、小惑星の爆発を2つのフェイズに分けてシミュレートした。その結果、爆発初期に小惑星は粉々に砕けて、破片が砂のように拡散していくが、小惑星のコアは甚大なダメージを受けてもなお重力を有しており、徐々にその重力によって破片が引き寄せられ、凝集していったという。
「SFのような話ですが、小惑星の衝突を考察している研究は多くあるのです。地球に向かっている小惑星がある場合、それを粉々にする方が良いでしょうか、それとも壊さないように軌道を変更すべきでしょうか? 後者の場合、どれだけのエネルギーが必要となるでしょうか? これらは熟考すべき実際的な疑問なのです」(ミール氏)
しかし、小惑星の衝突が数日前に分かった場合、熟考している時間はない。早急な対応が必要となるが、小惑星の軌道変更には年単位の時間がかかるし、爆破して粉々にしても衝突は避けられない……。
人類滅亡規模の超巨大隕石の存在は全て特定されているものの、今回のように100m程度のものは全てが見つかっているわけではない。確率は極めて低いが、都市レベルの消滅はいつ起こってもおかしくはないのだ。
我々にできるのは一日一日を悔いなく生きていくことぐらいだろうか……。
参考:「The Independent」、ほか
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