北九州「呪いの村」で起きた本当にあった怖い話! 呪われた家、消える家族、殺人、そして死…「血蟲の村」川奈まり子の実話怪談!
美津子さんは母と一緒に、懐中電灯を持って、屋根裏に上がった。
この家の屋根裏は物置として利用できる造りになっていたが、実際に使ったことはなく、引っ越した日に父がちょっと中を覗いただけで、足を踏み入れた者もなかった。
電気を引いてあったが、照明器具に電球を入れておらず、換気口からわずかな明かりが差し込むだけで、屋根裏は昼でも暗かった。
大型の懐中電灯で照らしながら、2人は慎重に奥へ入っていった。
やがて、美津子さんの懐中電灯の明かりが、床から天井まで突き抜ける四角柱を捉えた。美津子さんの胴回りよりも太そうな、逞しい柱だ。家の中心にあるようだ。
母がそれを見て、「この家の大黒柱だ」と言った。
美津子さんと母は、周りを廻りながら大黒柱を隈なく調べはじめた。四角柱の一面ずつ、上から下まで照らしていくのである。
最後の面を2人で見たときだ。
「あ、虫!」
真っ赤なムカデのようなものが、美津子さんの顔の高さで柱に貼りついていた。それは、彼女が懐中電灯で照らした途端、クネクネと動いた。
美津子さんは咄嗟に払い落そうとして、そちらに手を伸ばした。
するとその手の甲を母がピシャリと叩いた。
「触っちゃ駄目!」
「痛いなぁ。何も叩かなくても……。ああ、刺されるといけないから?」
「違う! よく見てみなさい! これは虫じゃなくて、血蟲だ!」
母の剣幕は尋常ではなく、また、非常に怯えているようなので、「チムシ?」と問いつつ、虫をよくよく観察すると、それはもう動いていなかった。
……いや、そもそも動くわけがないものだった。
鮮やかな赤い液体で柱に描かれた、ムカデともミミズともつかず、見ようによっては小さな蛇にも似ている、「蟲」の絵だったのだ。
「血蟲というのは、この辺りに伝わる呪いの術で、血でこれを描いて憎い相手に呪いを掛けるんだよ」
「何年も経つのに、血がこんなに赤いままなんてことがある?」
「呪いだから。触ったら死ぬかもしれない。大黒柱にこんなことをされたら、お終いだ。もうこの家は駄目かもしれない」
それから両親は家の呪いを解く方法を模索し、神社にも相談したようだが、血蟲の呪いを解くにせよ、玄関の柱を取り換えるにせよ、時間とお金が相当かかることがわかった。
しかも、呪いが解けるまで、我慢して住み続けることになる。
だったら、いっそのこと引っ越した方がいい――それにまた、問題の親方と同じ集落で暮らしつづけるのが耐え難いと母は訴えた。
親方を法的に訴えることも父は検討したようだった。しかし、宮柱である父よりも、親方の味方につく者の方がこの集落には多いかもしれず、事を荒立てた場合、かえって敵が増えてしまう可能性があった。
だからよその土地に移るしかないと母は主張し、美津子さんと姉も賛同した。
が、父は、宮柱の一員としてここを離れることは許されないと言い張った。
4人は何度も話し合った。
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