性交の三段階、寸止めセックス、性交時間…キリスト教最狂のブッ飛び教団「オナイダ・コミュニティ」を徹底解説!
■オナイダ・コミュニティにおける「複合婚」の実際
「男の自制」から教祖ノイズの女性観が垣間見える。彼によれば、サタンに聞き従った女と違い、男はキリストに従う。精液は生命そのものであり、生命に対する責任ある「自制心」を持ってこそ男である。しかし、出してしまう者もいて、彼らは女たちから「リーカー:leaker 漏らす人」と侮蔑された。
複合婚において、20才未満の男子は皆、更年期以降の女性から手ほどきを受け、彼女らとしか交わることを許されなかった。これを「アセンディング・フェローシップ」という。霊的に上位と見なされる者が下位の者を導くことを意味する。従って、20才未満の女性も同様で老人たちとのみ交わることになった。
それだけではない。まず性交は「毎晩22-24時、一人のみ」と限られていた。男性が申し込んでも女性には拒否権があった。加えて、当時、米国大衆の女性の多くが農作業と家事労働に人生を費やす中で、コミュニティの女性たちは教育を受け、時事問題を学び、場合によってはフランス語、ラテン語まで習得していた。夫婦の倦怠期を知ることなく性的に満足し、衣食住を得ることができた。
「名誉男性」になるような形でしか、これらの特権は与えられなかったし、相当に問題がある。しかし、このような点では、最も先進的だった。事実、31年の歴史において、殺人・傷害・自殺・性病は皆無だったのだ。これは驚くべき事実である。
■複合婚の破綻
しかし「複合婚」にも終わりがやってくる。理由はいくつかあるが、一つは禁じられていた「スペシャル・ラブ――男女に象徴される1対1の関係」をどうしても人々が捨てられなかったことだ。また優生学的に子孫を残す、つまり神の代理人・ノイズの子孫を残すためだけに設計された歪な共同体の中ではモテない人々もいた。派閥争い、後継者の問題があった。
結局、1879年6月23日、「オナイダ・コミュニティ」は、教祖ノイズ自身がカナダに脱走したことを機会に解体へと向かう。こうして世にも奇妙な千年王国実験「オナイダ・コミュニティ」は複合婚を廃止、銀食器販売の会社へと移行していった。教祖ノイズと寸止めブラザーズが夢見た共同体、あなたならば参加するだろうか。
注:「オナイダ・コミュニティ」の記述については、倉塚平『ユートピアと性 オナイダ・コミュニティの複合婚実験』(中公文庫、2015)に全面的に依拠した。倉塚の研究は、世界的に見ても重要な位置を占める。なお倉塚平(1928-2011)は、政治/宗教思想を専門とした学者。『異端と殉教』『千年王国の惨劇 ミュンスター再洗礼派王国目撃録 ハインリヒ・グレシュベック』など著訳書多数。稲垣伸一『独身主義と複合結婚が意味するもの -シェイカー、オナイダ・コミュニティの禁欲主義とホーソーン』(実践英文学、2016)も参照。
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