史上最高のドラマ『チェルノブイリ』を日本人はこう見るべき! 脱原発の盲点も… 金髪ロン毛の天才物理学者と清水あいり対談!
■今だからこそ、ドラマでチェルノブイリを知ることに意義がある
清水 原発には賛成の人と反対の人がいますよね。ただ、やっぱりこういうドラマを見ると「原発って怖いな」って感じる人が多いと思うんです。それに『チェルノブイリ』はソ連の話だけど、ドラマが製作されたのはアメリカですよね。どういう想いというか、狙いがあるんだろうって考えたりもします。
多田 まず、賛成の人も反対の人も、ドラマを通して原発は完璧なものでも理想の技術でもないと感じるんじゃないでしょうか。ただ、ここで勘違いしてしまうと良くないのは、ある技術に欠点やデメリットがあるから絶対に駄目、完全に止めるべきだと考えるのは見当違いだと思うんです。そもそもリスクがゼロの技術なんて存在しなくて、たとえば原発に代わるクリーンエネルギーとしてよく挙げられる太陽光発電も、山を切り拓いてたくさんのパネルを設置した結果、土砂崩れで大変な災害が起きるようになったとか、そういう例は本当に多いんです。
よく「ドイツは(クリーンエネルギーに)完全に移行しているんだから」って言われるけど、今の日本に同じことはできないんです。なぜなら、簡単に言うと今まで日本はそれを本気でやろうとしてこなかったから。だから大切なのは、どんな技術にも必ず欠点があるということを踏まえた上で、いろんなものを並行的に研究していくことだと思うんです。原発を夢の技術だと思い込んで頼り切ってもいけないし、すぐに止めて完全に風力とか太陽光に変えろというのも、いつかきっと痛い目に遭ってしまう。いろんな可能性を考えて、それぞれの技術についてしっかり研究を進める。それが一番合理的なんです。
清水 なるほど! ということは『チェルノブイリ』を見て、原発の怖さにただ怯えるよりも、メリットとデメリットをしっかり議論して、同じことを繰り返さないようにみんなで考えようってことですね。
多田 その通りだと思います。私たちができることは過去の大惨事から学ぶことだよね。チェルノブイリは事故を起こした経緯もひどいし、その対処もまずかった。じゃあ、どんなことが重なって最悪の結果を招いてしまったのか。このドラマが重要なのは、それをわかりやすく気づかせてくれることだと思います。私はこういう仕事だからチェルノブイリの事故報告書を読んでいるけど、一般的には誰も読んだりしませんよね。
清水 私も、チェルノブイリ原発で事故が起きたということは知っていたけど、その原因について知る機会はありませんでした。そもそも自分には理解できないと勝手に考えていたんです。でも、こうやって映像化されると、ドキドキハラハラしながら一気に事故の全体が見えた気がします。しかもドラマでは、原発で作業している人だけじゃなくて、その周囲の街や住んでいた人たちにどんな変化が起きたのかまで、本当に丁寧に描かれていて、驚くことばかりでした。街に残された動物たちを処分するシーンとか、私は実家で猫を飼っているから本当に悲しくて……。
多田 たしかにキツいシーンだったね、処分を任された人の心の動きや葛藤までしっかりと描かれていて、現実の厳しさが伝わってきたね。こういう、事故で影響を受けた一人ひとりにまでスポットを当ててドラマ化したことは画期的だと思います。悪者のように思える事故を起こした関係者も、なんであんな風に動いてしまったのかという理由の部分が見えてくるから本当に重要。プライドや無知そして嘘だったり。
清水 うん。『チェルノブイリ』から学ぶことは多かったです。関係者のその後とか、もっと知りたくなりました。しっかりと歴史を知ることができて、この作品に感謝しています。一つ一つグサグサ刺さってくる台詞も、「書き留めておかなきゃ」って思うくらい心に引っかかって。
多田 さすがですね! たとえばどんな台詞ですか?
関連記事
人気連載
“包帯だらけで笑いながら走り回るピエロ”を目撃した結果…【うえまつそうの連載:島流し奇譚】
現役の体育教師にしてありがながら、ベーシスト、そして怪談師の一面もあわせもつ、う...
2024.10.02 20:00心霊史上最高のドラマ『チェルノブイリ』を日本人はこう見るべき! 脱原発の盲点も… 金髪ロン毛の天才物理学者と清水あいり対談!のページです。海外ドラマ、チェルノブイリ、原発、放射能、東日本大震災、がん、対談、ソ連、スターチャンネル、セシウム、金髪、物理学者、ヨウ素、福島第一原子力発電所事故、清水あいり、多田将などの最新ニュースは好奇心を刺激するオカルトニュースメディア、TOCANAで