量子の「二重スリット実験」大きい物質でも成功! 遂にマクロとミクロの世界がリンク「物質波実験の質量は一桁上がる」
量子力学はその名にある通り量子を扱う物理学の一分野だ。量子とは物理量の最小単位のことである。量子力学が扱う超ミクロの世界では、通常の物理学では考えられない不思議な現象が起こる。たとえば、「粒子と波動の二重性」は特に有名だろう。量子は粒子であり、波であるという摩訶不思議な事態だ。
このことは二重スリット実験で確認された。二重スリット実験は、光子(量子)は“波”であり“粒子”でもあるという二面性を同時に持っていて、その“振る舞い”が“観測”によって変わることを証明した実験である。実験において細長い縦長の隙間(スリット)が空いた板が用いられることからその名がついた。観測された光子は粒子となり2つのスリットを通り、2本の縞を形作る。しかし、観測されていない光子は波のように2つのスリットをすり抜け、干渉縞を残す。
ところで、こうした不思議な現象は光子のように極めて小さい量子でなくとも起こっているのだろうか? そのことが、今回科学誌「Nature Physics」に掲載された論文で明らかになった。
科学ニュース「Science Alert」(10月5日付)によると、オーストリア・ウィーン大学の研究者らが行った実験で、2000個の原子を結び付けた分子でも粒子と波動の二重性を持つことが分かったという。この分子は1つの水素原子の25000倍の質量を持つ。
普通、分子は大きくなればなるほど、安定性が損なわれるが、研究者らは物質波干渉計と呼ばれる装置を使い、7ミリ秒だけ干渉させることに成功したという。地球の自転、重力も考慮されたが、確かに「量子論と一致し、古典的な物理学では説明できない結果」が出たとのことだ。
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