入院患者の尿が「完全に紫色」になった衝撃の理由とは!? 医師も驚愕、衝撃的すぎて医学誌に報告される=仏
フランスの病院から、入院中の女性患者の尿がラベンダーのような紫色に変色するという珍事が報告された。一体この患者に何が起きたのか? 科学ニュースサイト「Live Science」(10月31日付)が報じた。
・What Turned This Woman’s Pee a Striking Shade of Lilac? (Live Science)
記事によると、紫色に変色したのは脳卒中で入院中の70歳の女性の尿だという。入院からおよそ10日後、尿道カテーテルを介して採尿バッグに溜まった尿が、突如として紫色に変わったのだという。その時の様子が写真に残されているが、採尿バッグもチューブもあざやかな紫色に染まっており、とても尿とは思えない色合いになっている。
なんとも衝撃的な紫色の尿であるが、その原因はすでに判明している。微生物と必須アミノ酸の一つトリプトファンである。
これは「紫色採尿バッグ症候群(Purple urine bag syndrome, PUBS)」と呼ばれており、1978年に初めて報告された、比較的稀な現象である。寝たきりの入院生活などによって慢性的な便秘かつ、尿管カテーテルの長期使用によって膀胱や尿管に感染症を起こした患者に発生する可能性があるという。
紫色採尿バッグ症候群では、患者の体内や排出直後の尿は通常の黄色である。しかし、患者の腸内では便秘により微生物が異常繁殖し、食事に含まれて腸まで届いたトリプトファンを分解し、インドールという物質を生成されている。このインドールは肝臓でインドキシル硫酸(インディカン)に変えられ、尿に混じって排出されるのだが、このとき、膀胱や尿管に感染があると尿には微生物も混ざる。その中に、インディカンをインジゴレッド(赤)やインジゴブルー(青)といった色素に変えるような微生物が存在すると、今回のような紫色の尿になる……というわけだ。
インディカンはジーンズの染色にも使われる藍色のインディゴ染料の前駆体でもあり、青や赤など様々な色素の元となることが知られている。採尿バッグがあのように鮮やかな紫になるのも納得である。自分や家族が入院して、もしあんな紫色の尿を見たらパニックを起こすことは間違いない。
患者の女性は静脈からの水分補給を受け、幸いなことに数日後には症状が出なくなったという。今回の症例は世界的に高名な医学誌「The New England Journal of Medicine」に10月31日付で掲載された。尿管カテーテルを長期間使用する女性での報告が多いとされるが、男性での報告もあり、稀ではあるが誰にでも起こりうる症状なのかもしれない。まさに人体の神秘である。
参考:「Live Science」「The New England Journal of Medicine」ほか
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2024.10.02 20:00心霊入院患者の尿が「完全に紫色」になった衝撃の理由とは!? 医師も驚愕、衝撃的すぎて医学誌に報告される=仏のページです。微生物、尿、紫色採尿バッグ症候群、トリプトファンなどの最新ニュースは好奇心を刺激するオカルトニュースメディア、TOCANAで