永世中立国・スイスの謎！ スイス海軍は「最強の一般人」を集めた超大富豪の“私設軍隊”、スイス銀行、海賊も…!?

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■スイスの海運王

　現在のスイスには6社の海運会社がありますが、その中でも最も巨大なのがスイスのジュネーヴに拠点を置く世界第2位の海運会社MSCです。MSCの創業者でスイスの海運王ジャンルイジ・アポンテ（Gianluigi Aponte）は推定総資産8～9000億円と言われている大富豪です。MSCは現在も徹底した創業者一族経営の会社で、幹部全員がアポンテ家の人間です。

　ジャンルイジ・アポンテはイタリア生まれのイタリア人ですが、船の乗客だったスイス人女性ラファエラ・ディアマントと結婚してスイス人になりました。彼が1970年に1隻の中古船を買って始めた会社がMSCです。最初は船1隻だけの事業主、日本では一杯船主などと呼ばれるところからスタートして、世界第2位の海運王になった立身出世の人物です。その後、次々と新しい船を購入して巨大海運会社へと急成長しました。

　アポンテが船を購入できた背景には、ゴルゴ13も愛用していることで有名なスイス銀行とスイス政府の助成金制度の存在があります。

　スイスの海運業者がスイス船籍の船舶を新規購入する際にスイス銀行から融資を受けると、1隻に付き11億スイスフラン（約1200億円）を上限に、スイス政府が連帯保証人となり低金利で借りられる制度があります。保証の見返りは、非常時に政府の命令に従うこと。まあ現実に政府からの命令が来たことは一回もないといわれていますけど。

　どこよりも安い資金調達によって、アポンテ家の事業は急拡大しました。

 
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