夢が現実になだれ込んでくる! 「LSD」の幻覚世界をくられが徹底解説【ググっても出ない毒薬の手帳】

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【ヘルドクター・クラレのググっても出ない毒薬の手帳】

第32回 LSD

画像は「Getty Images」より引用

■夢が現実になだれ込んでくる! 大狂乱の幻覚世界 LSD

 たった100マイクログラム(1グラムの1000分の1が1ミリグラム、1ミリグラムの1000分の1が1マイクログラム)という、埃と見まごうレベルの極めて微量でも体内に入ると、現実と妄想、つまり幻覚との区別がつかなくなる薬剤があります。

 それがLSD(リゼルグ酸ジエチルアミド)という薬物で「麻薬」です。

 1938年、サンド社(現在は製薬会社ノバルティスグループの傘下)で働いていたアルバート・ホフマンという化学者が、呼吸器や循環器の刺激薬の研究のため、有毒カビに感染したライ麦に生えるバッカク(麦角)というキノコのように黒く変形した麦から、様々な誘導体を作っていました。

麦角。画像は「Wikipedia」より引用

 1943年、再度この物質の実験を行おうとしたとき、偶然その薬品が手に付き、体に入り、ホフマンは凄まじい幻覚体験をします。

 強い幻覚性があることを会社に報告すると、LSDは一時的に商品化され、人間の認知の研究にも貢献しました。しかし、幻覚剤としての濫用が問題になり、各国で非合法化されました。日本でも1970年より麻薬及び向精神薬取締法で指定されています。

 バッカクから抽出されたエルゴタミンを起点として25番目に合成された試薬なので、LSD25が正式名称です。他にもいろいろな誘導体があり、幻覚性はあったりなかったり。

 極めて微量で効果を発揮するので一回の使用量も非常に少ないため、麻薬としては薄めて紙にしみこませた状態か、液体として遮光瓶に入れられて販売されています。

 LSDの薬剤としての毒性は非常に低く、その毒性で死に至ることはまずありません。しかし、精神に非常に強く影響するため、トラウマを引き起こしたり、現実と幻覚の区別がつかなくなり、高所からの落下などによる事故の可能性があるため、他の麻薬と同様に危険な物質であることには違いはありません。

 詳しくは後述しますが、LSDはインドール系アルカロイドで、治療薬の少ない群発性頭痛に効果があることが知られ、違法ながらも頭痛の緩和のために手に入れる人もいます。

 また、2016年にアメリカの心理学者ジェームズ・ファディマン氏が、数日に1回10マイクログラムのLSDを摂取すると、抗うつ病や抑ADHD作用、精神の高揚、充実感などなど、精神的な安定がもたらされるという本を出版して物議を醸しました。氏の研究はあまりエビデンスと呼ぶには不十分で根拠のある研究とは呼べませんが、かといって無視して良い効果でもないため、研究が続けられています。

 欧米では合法的にこのマイクロドーズ療法をおこなうために、体内で分解してLSDになるプロドラッグ型の1-シクロプロピオニルリセルグ酸ジエチルアミド(通称1cP-LSD)などが販売されていたりします。

 こうした薬剤の新たな側面が発見されると、アメリカはかなり柔軟に対応することが知られており、MDMAも現在医療用で限られた用途ですが使われています。法律での運用も「麻薬ダメゼッタイ」という四角四面ではなく、用法用量での規制法となっており、現在医療用にむけて研究も進んでいるようです。

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