夢が現実になだれ込んでくる! 「LSD」の幻覚世界をくられが徹底解説【ググっても出ない毒薬の手帳】
●LSDの薬理学
LSD自体がここまで強烈な幻覚作用を持つことは非常に興味深いのですが、その全容は未だよくわかっていません。群発性頭痛の正体がはっきりしてないことから、なぜLSDが痛みを緩和するのかもよくわかっていません。
ただ、一部のセロトニン構造を持つ物質が頭痛に劇的な効果を持っていることは知られており、偏頭痛の治療薬としてナラトリプタン(商品名アマージ)などが実用化されています。ナラトリプタンもセロトニン骨格を持っています。
話を幻覚作用に戻しましょう。
LSDはセロトニン受容体の5-HT(2)受容体に対してアゴニスト(受容体に働いてスイッチを入れる物質)として働くことが知られていますが、どうやら他の受容体にも反応しているようで、それらの複合的なスイッチングによって、脳が現実を認知している部分をぐわんぐわんと変容させてしまうのです。
LSDなどの幻覚剤を使っている人の脳にPET検査を行ってみると、目を閉じていても何かをみているような視角野の活動がみられ、確実に「何か見えている」といえるのです。実際、LSDをやったことがある人の体験でも、「世界がぐにゃぐにゃと溶けていき、世界から入ってくる情報がぐちゃぐちゃになっていき、自分と世界の境界さえ曖昧になってくる」といった認知のバグりが生じることが知られています。
このバグりモードの時には突拍子も無い発想が出てくることがあり、そうした効能を狙って、特にアメリカのアーティストはLSDを利用することもあるようです。
また、このバグりは神秘体験ともなるようで、サリン事件を起こしたカルト教団であるオウム真理教も、イニシエーションと称して自家製の合成LSDを信者に飲ませていたという報告があります。何の事前情報もなく、いつのまにかLSDを服用させられて教祖の話を聞かされたら、教祖が神秘的な力を持っているように思えてくるのは間違いないでしょう。
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2024.10.02 20:00心霊夢が現実になだれ込んでくる! 「LSD」の幻覚世界をくられが徹底解説【ググっても出ない毒薬の手帳】のページです。LSD、くられ、ググっても出ない毒薬の手帳、幻覚剤などの最新ニュースは好奇心を刺激するオカルトニュースメディア、TOCANAで