フリーエネルギー詐欺の現場にガチ同席、中国人ペテン師が暗躍!? 見分ける「決定的一言」も!
■怪しすぎる! 「常温核融合」によるフリーエネルギー
ある日、筆者は貿易会社の広報の女性と一緒にホテルのラウンジで元電力会社の重役だという人物と面会した。懇意にしている貿易会社の社長に
「あなた(筆者)は科学のこと詳しいですよね? 常温核融合? に投資しないかって人がいて」
と頼まれ、私が代わりに話を聞くことになったのだ。
その男は専門用語をこれでもかと並べて語り始めた。
「常温核融合のことを、トカマク型核融合炉に代表される熱核反応に対して、凝縮集系核反応と呼びます。これまではパラジウムとニッケルの電極を使った反応炉を使っていましたが、すでに次の段階に入っていて、現在は水素吸蔵合金を使っています」
常温核融合とは文字通り常温、摂氏400度程度で核融合が起きるという夢の技術だ。名前こそ核融合だが、実態は別モノ。本当の核融合は太陽と同じく重水素を1億度以上の超高温でプラズマ化し、その結合エネルギーで連鎖的に熱を生み出す。それを使って水を沸騰させ、タービンを回すのだ。水力発電から原子力発電まで、基本的に今までの発電方式と変わらない。熱源が変わったというだけの話だ。
しかし、常温核融合の実態は電気分解だ。中学生の時に水を水素と酸素にわけたアレである。ごく簡単に言えば、この水を重水素に替え、電気分解したら電極で核融合が起きるのだという。そしてここが肝なのだが、本来の核融合が熱を発生して、その熱で発電するのに対して、常温核融合の場合は熱とともに電極に余分な電流が流れる。その結果、電気分解に使った電流よりも多くの電流が発生するらしい。これが事実ならば、入力した電気より出力される電気が大きくなるではないか! これこそ常温核融合がフリーエネルギーとして扱われる所以である。たとえば、100Wの電力から120Wの電力が生まれ、その120Wを戻してやると150Wになって出力されるなら、エネルギーを延々と無限に生み出すことができる――がしかし、そんなうまい話はない。物理法則上、このようなことは起き得ないと学者たちの間では結論が出ていて、グーグルが2015年から続けていた常温核融合実験が2019年に完全失敗で終わったことを期に、今や論ずるにも値しないという扱いだ。常温核融合は完全に否定されているのだが、しかし、「あるはずだ」という信念から研究を続行している科学者もいると考えられている。
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