フリーエネルギー詐欺の現場にガチ同席、中国人ペテン師が暗躍!? 見分ける「決定的一言」も!
■もっともな話に聞こえるが、だんだんと……!
「マイクロ格子にプロトンがトラップされ、電子が放出されます。水素分子の電子だけが放出されるので、電流が流れます」
プリントアウトされた資料を私に見せながら、男は相変わらず専門用語満載の説明を続ける。プロトンとは陽子のことで、水素分子の原子核は1つの陽子からできている。
「すでにジェネレーターの試作は終わっていて、非常に薄い電池上のデバイスが完成しています。ただし問題がありまして、みなさん非常に興味を持たれるのですが、常温核融合でも凝集系核融合でも、呼び名に『核』という名前がつく。これで怖くなってしまうみたいです。日本人の核アレルギーが出てしまうんですね」
男によると、投資会社や銀行には軒並み断られているらしい。常温核融合を再評価する気運が高まっていることは確かだ。アメリカでは関連技術の特許が取得され、研究を進めようと学会まで発足した。しかし、常温核融合が再評価されているといってもフリーエネルギーとしてではない。常温核融合では電流以外にも熱が発生するため、これを利用できないか? という研究が進んでいるというのだ。
「元の反応温度に対して、20%程度の発熱が起きている。70~100度ぐらいです。そこで我々は、夜間電力を利用した給湯器のように核反応を利用した新しいタイプの給湯器として、家庭向けに発売できないかと考えているんです」
常温核融合の熱だけを使おうと? それが本当なら、核融合ストーブなんてぶっ飛んだ商品もできることになる。
「発電システムとしてはなかなか(投資家を)説得できない。核融合という言葉に拒否反応があるんでしょう。だから、そこはあえて触れずに、まずは企業向けではなく個人向けの商品開発が必要だと」
男は強い口調で続ける。
「常温核融合ができないと言いますが、本当にわかっているのかと言いたい。核融合が一億度でしか起きないって、太陽の温度を考えれば(間違いだと)わかります。6000度ですよ? 一億度なんて全然いらないんです。そういう事実を物理学者は見ないようにして、常温核融合を“ない”ものとしている」
んん? と私は思う。6000度というのは太陽の表面温度で、核融合は太陽の中心で起きている。たしか中心温度は1500万度だ。そして、数百億気圧という超高圧だからこそ1億度以下でも核融合反応が起きる。そもそも、人類にそんな超高圧を生み出すことはできないから1億度が必要という話なのだ。
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