フリーエネルギー詐欺の現場にガチ同席、中国人ペテン師が暗躍!? 見分ける「決定的一言」も!

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イメージ画像:「Getty Images」

■フリーエネルギー詐欺のバックに“あの国”……!?

 このあたりから、なんとなく怪しい感じがしてきた。こちらの疑心暗鬼に気づいているのかいないのか、男は前職で携わっていたという大手企業の買収や合併の話をペラペラと喋り続ける。

「いやぁ、当時は150億円を調達したんですよ」

 面会場所は赤坂の一流ホテルだ。話も大きい。今回は製品化に向けてまずは3億円を集め、最終的には100億円単位の投資が必要だという。しかし、それにしては男の身なりが釣り合わない。カバンは肩掛けで、時計は古いGショックだ。

「海外からの投資というか、特許を含めた事業の買い取りですね、そういう話もあるにはあるんですよ」

「どこですか?」

「中国です。中国の〇〇公社から打診があり、150億円を提示された。以前、私がやっていた会社でも中国と取引があって、向こうではVIP待遇ですよ。北京で飛行機下りると赤絨毯で、兵隊が捧げ筒で両側にダーッと立っていてね。だから私は良い話だと思ったんですが、研究に協力してくれた嵯峨野先生がね……」

 前述のように、常温核融合の研究は80年代に始まったが、詐欺ということになって今ではほとんどの国や大学で研究費が打ち切られた。その中で細々と続けていた研究者がいるが、日本では嵯峨野教授(仮名)がよく知られている。

「嵯峨野先生は愛国主義者ですから。ご親族を戦争でなくされたとのことで、この夢の技術をどうしても日本のために役立てたいと。私は左翼なんですけどね、ハハハ!」

 この時点で、私の中では7割方、この話はおかしいという方向に傾いた。

「嵯峨野先生は○○コイルの研究もやっていて、実際に温度が下がったらしいんですよ。これこそ詳しくは明かせないんですけどね、部屋の温度が下がった」

(こりゃもう、詐欺で確定だ!)

 コイルを使って空間の熱エネルギーを電気に変えるという○○コイルは、フリーエネルギー詐欺でよく持ち出されるアイテムだ。動作している証拠は部屋の温度が下がることで、室内の熱エネルギーをコイルが奪うためだという。「部屋の温度を下げる」というところに工夫があったりするが、これは典型的な投資詐欺だ。

 男は続けた。

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「エネルギー革命なんですよ。これ、大規模に行えばエネルギー革命ですよね。原油の輸入がいらなくなるんです。だからでしょうね、この研究成果を中国で発表したら、ホテルに強盗が入った。盗まれたのは財布にあった2万円とプレゼン資料ですよ。そんなものを誰が欲しがるのか? 発表して欲しくない人間ですよ」

 意味ありげに男が笑う。

 今日の内容を上の者に伝えておくとだけ告げると、私たちは席を立った。

「どう思います?」

 帰り道、同席した女性に聞かれたので、やめたほうがいいですと私は言った。

「私もそう思います」

 話の内容がわかっていたのかと思ったら、彼女が言った。

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