通俗的「LGBT支援」の論理破綻を元女子大教授が指摘! 支援のつもりが「性差別を強化」…日本の知的レベルがやばい!

 「法的権利は与えるが、使わせまい」……いやいや。法的IDが与えられたなら、MtFは臆せず女湯に入ってよいし、むしろどんどん入ってください。女性のうちペニスのある人だけ女湯に一人も来ないままだったら、それこそジェンダーギャップ指数は大暴落です。男性内にはない差別構造が女性内で働いている証拠となりますから。

 海外では、ペニスを持つ法的女性がシャワー室に入ってきているし[3] 、スポーツの女子競技大会でも元男性が軒並み優勝をさらっていますね(どちらも顰蹙を買ってはいるものの)。もちろんあれでよいのです、法的IDが与えられたなら。権利は堂々と行使するべし。女湯についても皆さん御承知おきください。そんな覚悟もできぬまま「トランス女性は女性です」と無責任に旗を振っている支援者は、いざ法的ID実現となった暁には「トランス女性は恥を知る女性であれ」と抑圧する側にまわるでしょう。

 「当事者の遠慮」に期待する厚かましい「支援」こそが、最悪のトランス排除なのです。
 
――以上、二つの例によって、トランス支援と称する活動の錯誤を検証しました。
 【要点1】「性自認」の「性」は何を意味するのか、具体的に述べよ。
 【要点2】法的IDがどんな権利を伴うか、ありありと思い浮かべよ。

 考えればすぐ見えてくる基本的矛盾点について、学識者がまったく声を上げない日本社会。その知的レベルが心配です。[4]

[3] 海外のシャワー問題に対する日本のLGBTアライ(理解者・支援者)の興味深い反応として、たとえばhttps://twitter.com/Summer500la/status/1084077911630475264
[4] 欧米では、日本よりもヘイト認定によるバッシングが苛烈であるにもかかわらず、実名でトランス支援批判を公言する知識人が数多くおり、言論の多様性が維持されている。

文=三浦俊彦

1959年生まれ。東京大学総合文化研究科博士課程単位取得退学。現在、東京大学文学部教授。専門は、美学・分析哲学。和洋女子大学名誉教授。著書に『バートランド・ラッセル 反核の論理学者:私は如何にして水爆を愛するのをやめたか』 (学芸みらい社、2019年)、『エンドレスエイトの驚愕: ハルヒ@人間原理を考える』(春秋社、2018年)、『改訂版 可能世界の哲学――「存在」と「自己」を考える』(二見文庫、2017年)など。
Twitter:@tmiura_bot

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