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先に挙げたマイケル・ムーアは、2018年、トランプ大統領がなぜ誕生したのかを描いた映画『華氏119』を作っている。
ちなみに、2001年9月11日の同時多発テロが起こったとき、当時の大統領ブッシュ(ジュニア)がそれを理由にアフガニスタンやイラクで戦争を始めたことを、ムーアは映画『華氏911』(2004年)で批判している。『華氏119』における119とは、2016年大統領選挙の開票日である11月9日を意味する。この日がトランプ大統領が誕生した日だったのだ。
ムーアは、左寄りの民主党支持、生粋のリベラルを自称し、アンチ共和党、アンチトランプである。だが、『華氏119』が指摘するのは、リベラルの象徴である民主党が多くの問題を抱えていることだ。
政治家たちがスポンサーとなってくれる企業や個人に媚びへつらうなら、常に国民は置いてきぼりで、富裕層に有利な方向にしか社会は動いていかない。もともとは、民主党は市民の味方、共和党は右寄りの富裕層に寄り添ってきたが、クリントン政権の頃から民主党も富裕層に擦り寄るようになった。そのため、一般市民の政治に対する興味がますます低下し、投票にもいかなくなっている。例えば、2016年の大統領選では、ヒラリー6600万票、トランプ6300万票、投票に行かなかった人は約1億人であったという。ここで、ヒラリーの方が得票数では300万票上回っているが、アメリカ大統領選挙は選挙人制度により、各州に割り当てられた選挙人を州単位の勝敗で勝った者が総取りするため、最終的にはトランプの勝利となった。
ムーアは、トランプは国民のたった30%の支持を集めることで大統領になれたと指摘する。だが、その30%を獲得するために、トランプはあらゆる方法で話題を作り、メディアを翻弄し、民主党がないがしろにしてきた物言わぬ市民たちの気持ちを掬い上げてきた。ムーアの映画ではディープステートという言葉こそ登場しないが、民主党も蝕む政治腐敗をぶっ壊すリーダーを人々が求めていたことを描いている。
2016年の大統領選挙で選挙対策本部長を務めたスティーブ・バノンは、ムーアの映画から多くを学んでいるとはばかることなく語っている。トランプが4年前の大統領選で、プアホワイト(白人労働者階級)にターゲットを絞ったのは、バノンがムーアの映画から着想を得たものという。
また、ムーアがアポなし体当たり取材で観客の気持ちを掴んできた手法もトランプ大統領は取り入れている。実際にはアポなしとはいえないが、昨年6月、大阪でのG20ののち、電撃訪問で北朝鮮の金正恩と握手したスピード感には驚かされた。
もはや政治議論の論点は「右翼か、左翼か」ではない。「ディープステートか、それをぶっ壊すか」という選択で、ぶっ壊す側を明確に打ち出して爆誕したのが、トランプ大統領だったわけだ。
次回、トランプ大統領の誕生秘話をさらに詳しくみてみたい。(つづく)
参考:「Full Measure」「Washington Post」「Breitbart」ほか
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