【追悼】“ノストラダムスの大予言”五島勉は「絶対に人類滅亡する」とは言ってなかった!愛読者が語る「五島氏の本当の凄さ」

 何より、1989年頃に五島氏の著書に触れた私にとって、ノストラダムスの大予言は10年後には確実に結果がわかる宝くじのようなものだった。その運命の時が訪れるのを待つという感覚が単純に面白かった。

 その後、私は五島氏が出したノストラダムス以外の予言に関する本も片っ端から読むようになった。アメリカの予言者であるエドガー・ケイシーが「1998年に日本が沈没する」という予言を残していたという話は面白かったが、「聖徳太子が実は予言者だった」という内容の本を読んだあたりから「ん?」と思い始めた。

 そして、極めつけは「イソップ物語は未来を暗示していた」という話だった。子供心にも「さすがにそれはないわ」と思わされた。何でもかんでも予言だと言えばいいというものではない。このあたりで自分も中学に上がり、多少は冷静にものを考えるようになっていたというのもあるかもしれない。

 そして、いざ大学生のときに迎えた1999年には、不思議なほど何も起こらなかった。その代わり、少し前倒しした形で「終末」は訪れていた。1995年に起こった地下鉄サリン事件とその前後のオウム真理教騒動だ。

 カルト宗教の教祖に洗脳された信者たちが、終末思想を実現させるために、大都会の真ん中で世界初の無差別薬物テロを起こした。何もかも破茶滅茶で、悪い冗談のような出来事が現実のものとなった。

 それに前後して、関西地区に深刻な被害をもたらした阪神大震災があり、切断された小学生の頭部が学校の校門前に置かれた神戸連続児童殺傷事件があった。「終末」っぽいムードはちゃんと来た。でも、それは思ったより早かったし、ノストラダムスの予言書のどこにも書かれていないことばかりだった。

 むしろ、ノストラダムスの大予言などに含まれる終末思想を信じたい人たちの情念が最悪の形で具現化したのがオウム真理教であり、彼らの引き起こした一連の事件だったとも言える。

 もちろん、そういった事件の責任の一端が五島氏にあるとは思わない。包丁を使った通り魔事件が起こった際に、その包丁を作った職人に責任を問うようなことはあってはならないのと同じだ。あくまでも悪いことをした人が悪いのであり、間接的に影響を与えた側が責められるいわれはない

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