「大麻取締法は天下の悪法、アメリカに作らされた法律」池田清彦が断言! 科学的エビデンスはない…高樹沙耶✕石丸元章×池田の“大麻鼎談”
●「日本に大麻特区をつくればいいんですよ」(池田)
高樹 私も池田先生の『この世はウソでできている』を読ませていただきました。「第1章民主主義のウソ」の最初の項目「『民主主義は人の自由を尊重する制度である』のウソ」で大麻が世間から非難され、お酒が容認されている欺瞞(ぎまん=ごまかし)について書いていらっしゃいます。次の項目は「『ダメ、ゼッタイ。』? 大麻取り締まりのウソ」。大麻取り締まりは日本の「民主主義のウソ」の象徴的なことだという理解でよろしいですか。
池田 はい。大麻は日本で理由もなく規制されていますからね。国家が押し付けている欺瞞の最たるものです。先日、フランス文学者の内田樹さんとZOOMで対談したんですが、内田さんには「権力とは無駄なことを強制させる装置である」という名言があります。
石丸 「権力とは無駄なことを強制させる装置である」。けだし、名言ですね。
池田 「俺の言うことを聞け! 理由はないが、俺は権力だから」ということですよ。これが象徴的にあらわれているのが、日本の大麻規制。科学的エビデンスから考えても、大麻を規制する理由はないのだけれど、権力は理由もなく規制する。また、権力は一回決めたことを、なかなか変えません。
高樹 本当にそうですよね。
池田 権力が一回、何かを決めると、利権がからんできます。法律は一回、つくってしまうと、それをもとに食べていく人々が生まれてきます。単純に言うと、大麻取締法がなくなったら、警察や厚労省で働き場を失う人々がでてくる。
高樹 なので、彼らは必死になって、「ダメ、ゼッタイ。」キャンペーンを張っている(笑)。
石丸 仕事がなくなっちゃうのは怖いからね…….。
池田 煙草も酒も利権がたくさんあって、問題があるけれど、いっそ大麻も解禁して、税金をかけて、税収を増やすという方向にいったほうがまだましです。
高樹 大麻を合法化した海外の国々も税収が増えています。
池田 早稲田大学国際教養学部の1期生が「大麻特区をつくったときの経済効果について」という卒業論文を書いたんです。すごくいい論文だった。
石丸 ほう! いつ頃のことですか。
池田 国際教養学部ができたのは2004年ですから、2008年だと思います。その後、世界の大麻解禁の流れは、彼の論文を真似をしたような気さえします。
石丸 卒論の評価は。
池田 もちろん、「A」です。卒業後、一流企業に就職して、ちゃんとやっているみたいですよ。それで、口頭試問でこのテーマで卒論を書いた理由を聞いたら……ほぼ合法化されていたオランダに行ったとき、日本でも特区をつくれば、インバウンド需要も望めて、税収を上げることができると思いついたそうです。
高樹 東日本大震災後、先生は福島を大麻特区にすること提案されました。
池田 万が一、実現していたら、おもしろいことになっていたでしょうね。
高樹 先生やその卒論を書いた学生さんとか、柔軟な考え方をする人も増えています。でも、なぜ、日本では大麻合法化の議論は進まないのでしょうか。
池田 いちばんは、マスコミが規制しているからでしょうね。ボクや武田邦彦先生は「大麻なんてたいしたことない」ってテレビでも口にするけれど、そんな人はあまりいませんからね。
高樹 『この世はウソでできている』には、テレビ番組の収録で「大麻取締法は天下の悪法だ」と発言したら、必ずカットされると書いてありました。この本が出版された4年前から、状況はよくなっているんでしょうか。
池田 いまでも収録ではほぼカットされてしまいます。生放送なら別だろうけれど、ボクなんか危なっかしいから、呼んでくれませんよ(笑)。マスコミは自主規制してしまうんです。コロナ禍にしても、都知事選にしても。本当に視聴者に重要、必要な情報は規制して、流さない。そういうのが日本のマスコミ、権力のやり方です。
石丸 むむむ。
池田 そういう意味では、社会主義的、独裁主義的というか、アジアで日本は北朝鮮並みに情報統制がひどいことになっていると感じます。この世はウソでできている! コロナ禍にしても、都知事選にしても。本当に視聴者に必要な情報は規制してしまう。大麻について喋ったこともすべてテレビ番組ではカットされてしまいますね。
――生物学者の言葉は明快だ。後編では、自然環境と大麻、処方されている向精神薬の危険など、さらなる真実に迫る。
(後編はこちら!)
●池田清彦(いけだ・きよひこ)
1947年7月14日、東京都生まれ。生物学者・評論家・理学博士。早稲田大学名誉教授、山梨大学名誉教授、TAKAO599MUSEUM名誉館長。東京教育大学理学部卒業、東京都立大学大学院理学研究科博士課程修了。『ホンマでっか!?TV』(フジテレビ)にコメンテーターとしてレギュラー出演するなど、さまざまなメディアでも活躍している。著書、共編著、翻訳書、多数
Twitter: @IkedaKiyohiko
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◎高樹沙耶(たかぎ・さや)
1963年8月21日、静岡県生まれ。元女優、元作詞家、石垣島のキャンピングロッジ 「虹の豆」オーナー。1983年に主演映画『沙耶のいる透視図』で女優デビュー、映画&ドラマシリーズ『相棒』ほか、数多くの作品に出演、人気を呼ぶ。著書に『贅沢な暮らし—衣食住が育む「心のラグジュアリー」』(エクスナレッジ)、『ホーリープラント 聖なる暮らし』(明窓出版)ほか
Twitter: @ikuemiroku
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